2001年度、愛知県犬山市では全国に先駆けて、市独自で非常勤講師を採用し、市内の全小・中学校に少人数教育を導入した。新学習指導要領の施行を次年度に控え、「教え込む授業」から「生徒自らが学ぶ授業」への転換を図ることが目的だった。犬山中学校では、現在13名の教師が加配され、英語・数学で少人数授業を、理科でチームティーチングを導入している。
犬山中学校の少人数授業では、1クラスを二つに分け、2名の教師がそれぞれのグループを受け持つ。グループは生活班や出席番号によって機械的に分け、幅広い学力層の生徒が混在するようにしている。一般的に、習熟度別にグループを分ける方が授業を効率よく進められると思われているが、数学科主任の岩田泰幸先生は、「初めから習熟度別学習ありきのスタンスは取らない」と強調する。
「最初から習熟度別に分けてしまうと、下位グループの生徒は、スタートの時点で『自分はできない』と思い込んでしまいます。『自分も頑張れる』というモチベーションを高めることの方がより重要です」
生徒同士が学び合う集団になるためにも、こうしたグループ編成は効果的だという。英語科主任の山本浩史先生は、「公教育の原点は、さまざまな生徒が混ざり合って、互いに学び合うことです。以前、習熟度別にしたこともありますが、同じ学力の生徒が集まると、互いに協力して高め合うことが難しかった。さまざまな力を持った生徒が集まることで、生徒が助け合いながら学習を進めるようになるのです」と言う。
授業ではできるだけ多くの教師と接することができるよう、単元ごとにクラス内で担当教師を交代させている。授業進度を調整し、評価規準を統一する必要から、必然的に教師間のノウハウの共有が進み、指導力向上にもつながっている。
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