では、具体的な方法には、どのようなものがあるのだろうか。
よく取り入れられている方法は、少人数授業だ。生徒一人ひとりが発言しやすく、じっくりと活動に取り組めるため、主体的な学びが生まれやすいからだ。
単元内容や学習目的に応じて、一斉授業と少人数授業を組み合わせて行う中学校もある。例えば数学では、単元の初めの公式などの理解の時間は一斉授業でクラス全員に行い、演習段階では理解度に合わせて少人数のグループに分け、個別にきめ細かく対応できる授業を行うというものだ。ただ、図形など解法が多様にある分野では、演習も理解度別の少人数グループではなく、クラス全体で行う。人数が少ないと、生徒から出される解法はどうしても限られてしまう。たとえ自分では解き方がわからなくても、ほかの人の意見を聞くこと自体が学習となる分野では、一斉授業の方が効果的だという考えだ。
このように、生徒の実態を考慮しながら、集団による指導のメリットをうまく生かした授業が行われているようだ。
更に、学外の協力を得るという方法もある。ある中学校では、英語の授業に、地域のシニア英会話教室の生徒(中学生の祖父母にあたるような年齢の大人)が参加している。ボランティア活動や海外旅行のためなど、英語学習の目的意識が明確な人たちと一緒に学ぶことで、生徒は英語を学ぶ有用性を実感し、モチベーションがぐっと上がるという。
限られた時間をデザインするかのように、いろいろな手法を組み合わせて行われている中学校の授業。次ページからは、指導内容や生徒の状況に応じて授業の方法を柔軟に変えている、愛知県犬山市立犬山中学校の取り組みを紹介する。
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