未来をつくる大学の研究室 分子生物学・アポトーシス
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
  PAGE 5/5 前ページ

研究テーマは?
選挙での公約が機能しているかを調査分析する

 私は大学で、選挙で候補者が掲げる「公約」について研究してきました。人々の思いを政治に反映させるには、有権者と代議士の約束事である公約が守られていることが条件となるからです。
 選挙では、まず候補者が明確な公約を有権者に示さなくてはなりません。有権者にも、候補者の公約をきちんと理解した上で議会に送り込みたい候補者を選び、投票することが求められます。更に当選した議員は、選挙時の公約を守り、実行に移すことが不可欠です。
 これまで、「選挙のときに、有権者が正確に公約を理解しているか」「有権者は投票をするときに、候補者の公約をどれくらい重視しているか」といった調査をしてきました。
 その結果、「有権者は、候補者の公約をあまり信用していないらしい」ということが見えてきました。有権者と代議士の約束事である公約がそもそも信用されていないようでは、民意が政治に反映されるわけがありません。有権者が公約を信用しなくなったのには、何か原因があるはずです。その原因を探り、公約の信頼性を取り戻す方策を見つけ出すことが、これからの私の課題です。

高校生へのメッセージ
研究に必要なのは、感受性と表現力
 私が政治学に関心を持ったきっかけは、「ダイオキシン問題を何とかしたい」と考えたことでした。皆さんもニュースや生活の中で「なぜこんなことが起きるのだろう?」「どうやったら解決できるのだろう?」と考えてしまうような出来事がきっとあるはずです。
 私の場合はダイオキシン問題を解決する手段として政治学に興味を持ちましたが、人によっては「科学者になって、ダイオキシンの分解を促進する技術を開発したい」と考えるかもしれません。選ぶ道はそれぞれ異なるでしょうが、学問に取り組む上で出発点となるのが、社会に対する問題意識です。自分の中にある「なぜ」「どうすれば」という問題意識を大切にしてください。

  PAGE 5/5 前ページ