指導変革の軌跡 長野県望月高校「授業改革」

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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「共生感」こそが改革の最大の成果

 同校において「学びの共同体」の取り組みが成功したのはなぜか。一つには、05年度以来の授業・進路指導改革がある。生徒一人ひとりの様子を多くの教師の目で把握し、どんなタイミングで、どういう声をかければよいか、教師がとことん研究してきた。そのような教師の頑張りが、生徒の学習に対する前向きな姿勢を引き出しつつあった。また、同校の生徒の2~3割は不登校を経験している。同じ苦しみを味わった者同士の助け合いの精神が育まれてきた。
 「補習には、突っ張っている生徒も、大学進学を決めた生徒も、皆参加するようになりました。言葉にはしないものの、『望月の先生は就職も進学もしっかり面倒を見てくれる』と生徒が思っているのを感じます」と大田先生は語る。
 学校の雰囲気も大きく変わった。今では、学校周辺や廊下にごみは一つも落ちていない。生徒は来校者に挨拶するようになった。数年前まで荒れていた学校とは思えないほどの落ち着きぶりだ。同校の統合は、06年9月の県議会で凍結となった。
 生徒の意識の変化は、服装にも表れている。望月高校は自由服なのだが、ここ数年で、背中に「望月高校」と刺しゅうされたジャージを着て登校する生徒が増えてきた。学校に対する誇り・・、これこそが改革の最大の成果なのかもしれない。
図3

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