国による全国学力調査は、07年度から毎年4月に、全国すべての小学6年生と中学3年生を対象に行われる。調査教科は、あらゆる学力の土台となる国語、算数・数学で、家庭学習や学習意欲、読書習慣等の学習状況調査も併せて行う。
学力調査の目的は、児童・生徒一人ひとりの学習を支援することにある。対象学年の悉皆(注1)調査とし、すべての子どもと保護者に情報を提供できるようになっている。
問題は、基礎的な内容が中心となっている。そのため、基礎学力についての項目を全国や都道府県の平均値と比べることで、学校やクラス、子ども一人ひとりの得意・不得意を明らかにできる。小・中学校は、これらのデータを基に指導改善を行うというわけだ。調査結果は夏ごろまでに届けられることになっており、卒業までに課題を克服できる時間を確保するようにしている。また、結果を学力向上に結び付けるガイドラインや、各自治体や各校の活用法の事例集も作成される。
国として最低限保障している学力が身についているかどうかを、国、教育委員会、教師が数値を基に把握し、不足があれば補う対策を取れるようにする。これが、この学力調査の目的といえるだろう。
調査結果は、国としては都道府県単位での結果のみを公表する。各校個別の結果について公表するかどうかは、都道府県教育委員会・市区町村教育委員会に判断が委ねられる。地域内の学力格差による軋轢(あつれき)を避けるために公表しないという選択もある一方、地域の理解を得るために結果を公表して教育改革を進めるという判断もあり得る。あくまでも指導改善を目的とした学力調査であり、学校の序列化などを引き起こさないように配慮されている。
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