変わり始めた高校の英語教育

 
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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a round-table talk on SELHi
セルハイ事業の継承のために

失敗経験を含めた情報の共有、英語教育に関する活発な議論が、今こそ求められる

金谷 セルハイによって先生同士の情報交換が進み、自分の教え方を客観的に見ることができる環境が整ってきました。しかし、学校間の交流はもっとあっていいと思いますし、失敗経験の共有など、更に深く結び付いてほしいですね。
金森 そう思います。多読用にどんな本を購入したか、PCを何台設置したかといった情報はすぐに入ってきますが、多読用の本をどのようにして生徒に読ませたのか、その実践の工夫、失敗の経験こそが肝心です。それを他校と共有してほしいと思います。
松本 もっと議論していただきたいですね。お互いの授業、教材を見て、自分たちの指導がどういう理論に立脚しているかを話し合うことが大切です。よく、受験英語か実践的な英語かという話になりますが、同じ英語なのだから、相違点だけに目を向けるのではなく、同じ点を見つけて共有していくと、意外と目指すところは同じだったと気付くことがあるのではないでしょうか。
金谷 旧帝大などの個別学力試験の英語の問題を見ても分かる通り、受験英語とコミュニケーション英語は対立する時代ではないと思います。
松本 ええ。受験英語を教えるときも、英語を使ったり、生徒とのコミュニケーションを生かした指導ができるはずです。入試問題は変わっているのに、短いパラグラフを50分かけて日本語で教えている。変わっていないのは授業だけ、ということになってしまいます。
吉田 指導法の共有という意味では、セルハイの報告書にもひと工夫が欲しいところです。取り組みの様子をより理解するためには、ビジュアルも重要です。文部科学省には、授業の一部でもいいので、取り組みの様子をDVDで記録・配付するようなことをやってもらいたいですね。
金谷 指導案だけでなく、その学校の特徴が分かるような映像の記録は必要でしょうね。
松本 それと並行して、教師集団がどんな体験をしたことでどう変化していったか、その記録も是非残してもらいたいと思います。
金谷 セルハイの予算のお陰で外部テストも比較的自由に受けられるようになりましたが、セルハイが終わったとき、それがどうなるのかも課題です。また、外部テストだけではなく、例えばスピーキングの記録を取るなど、学校内での教育効果の測定についても考えていかなければなりません。
吉田 例えば、学習の成果を測り、改善へとつなげるGTECと、生徒のモチベーションを高める英検といったように、外部テストの特性を先生がよく理解し、意図的に使い分けることも必要でしょう。
金森 本来、外国語は生涯学習として長期に渡って学ぶべきものです。子どもから大人まで、欧州のように自律的な外国語学習者への動機付けにもなる評価システムを確立していくことも、社会的なニーズとして必要になってくるでしょう。

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