データから見るSELHi校と一般校の英語教育 授業改善につながる学力調査と分析を
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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Question
今回の調査結果をどのように分析していますか

 SELHi校と一般校に分けてお話ししましょう。
  まずSELHi校についてですが、ベネッセ教育研究開発センター特別顧問の高田正規氏も指摘しているように、特にG3以下の生徒の自己効力感が低いことが目につきました。SELHi校の授業を見学していると、いきなり「プロダクション活動」に入る傾向が強いように思います。しかし、アウトプットに自信がない生徒に表現活動をさせようとしても、表現できないことが多すぎて、更に自信を失ってしまうことになりかねません。
  そこで、例えばスピーキングについても、まずは聞いたことを生徒にリピートさせるといったことから始めてはどうでしょうか。ただし、リピートをするときも、聞いたことをそのまま繰り返させるのではなく、生徒自身に少しだけパラフレーズさせる。そうしたレベルから「プロダクション活動」を行えばよいと思います。
  もう一つ気になったのは、「仲間と一緒に勉強や課題をやる方が調子が出る」といった協調作業に対する動機が、2年生になると低下してしまうことです(図1参照)。SELHi校の多くがペアワークやグループワークなどの協調作業を重視しているため、本来なら協調動機が伸びていくはずなのに、そうはなっていません。
  これはペアワークやグループワークが、生徒同士のコミュニケーションを目的としたレベルにとどまっており、「疑問点を一緒に考えて、課題を解決していく」という活動ができていないからだと考えられます。例えば、ペアになった相手が書いた英作文で意味が通じない部分を、もう一人が指摘しながら一緒に英文をつくり上げていくといった課題解決型のペアワーク、グループワークを充実させていく必要があると思います。
  一般校について言えるのは、文法分析や英文和訳を中心とした「分析的学習活動」に偏った指導になっており、「英語使用活動」や「プロダクション活動」の場面が少ないということです。ただし繰り返しになりますが、いきなり「プロダクション活動」を導入しても生徒は対応できませんから、インプットに基づいてアウトプットを行う活動が大切になります。

図1 達成関連動機
図1

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