―日本の英語教育の課題をどのように捉えられていますか。
銭谷 これまでの中学、高校の英語教育は、いわゆる「受験英語」が中心だったと思います。国際化社会が進むに連れ、実践的な英語教育の必要性が強く言われてきたにもかかわらず、高校入試、大学入試があるために、長文読解や文法指導に偏った指導になりがちでした。
文部科学省は、近年オーラルコミュニケーションを重視する施策をとっています。その効果は徐々に表れつつありますが、まだまだ主流は長文読解、文法指導中心の英語教育であることは否めません。そのため、日本人の多くが、英語力が十分ついていないために、外国人との交流において制限を受けたり、外国人から適切な評価が得られなかったりするといった事態が生じています。英語は国際共通語としての位置付けが益々強まっていますから、英語を使える日本人を育てることを目的とした英語教育を充実させる必要性は、更に高まっていると捉えています。
―2003年に、文部科学省が打ち出した「『英語が使える日本人』の育成のための行動計画(以下、行動計画)」の狙いを教えてください。
銭谷 この計画の目標は、「中学校、高校を卒業したら英語で外国人とコミュニケーションができる」「大学を卒業したら仕事で英語が使える」人材を育てることです。
そのためには、英語授業の改善、英語教員の指導力向上や指導体制の充実、生徒の英語学習へのモチベーション向上、入試での評価の改善、小学校での英語活動の支援、また英語力のベースとなる国語力の向上といったことも推進する必要があります。SELHi事業の推進や、ネイティブスピーカーの一層の活用促進も、「行動計画」の具体的施策の一つです。
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