高校で行われる評価法は、「テスト」が一般的な方法です。現在、多くの高校で行われているテストを見ると、大きく三つの課題が浮かび上がってきます。
まず一つめは、「測定しようとする力に対応したテストになっているか」です。コミュニケーション能力の育成を目標に掲げ、ディスカッションやディベートに力を入れて指導している高校でも、評価はペーパーテストだけで行っているというところが少なくないようです。また、例えばスピーキングのテストの結果が伸びたとき、それをディスカッションやディベート活動の成果と考える先生がいらっしゃるようですが、その解釈は必ずしも正しくはありません。スピーキングの力と、ディスカッションやディベートで培われる力は全く同一というわけではないからです。日々の指導とそこで培われる力、そしてその評価が一致していないのです。
高校で行われるテストは、測ろうとする力を可能な限り直接的に評価するものであるべきです。そうすれば、指導が生徒の英語力に結び付いているかどうかが分かりますし、指導の改善にもつながります。
二つめの課題は、「テスト作成・分析に求められるスキル」です。指導法に優れている教師でも、テストについて理論的に勉強されている方は少なく、テストの作成から採点、結果の解釈まで整合性を持って実践できていないのが現状です。基本的な例を挙げれば、指導開始前に育成したい力を測っていないケースです。指導前の生徒の力を把握しておかなければ、指導の成果も当然測ることはできません。
テストの作成同様、その結果の分析も慎重に行うべきです。ライティングの成績が伸びたからといって、ライティングの指導法が良かったと単純には言えません。英語の授業時間数が増えた、少人数制の授業になったなど、いろいろな条件を踏まえた分析を行う必要があります。
そして三つめの課題は、「テストの評価軸が一貫しているかどうか」です。英語は積み上げ型の科目なので、一貫した尺度で測っていけば、学習の成果がスコアやレベルのアップによってはっきりと見えてきます。しかし、高校の定期テストでは、高1なら高1、高2なら高2の学習目標に到達しているかを測ります。したがって、高2生で中学卒業レベルの英語力しかなかった生徒が、指導によって高1レベルまで伸びたとしても、高2レベルには達していないために、英語力の伸びが確認しにくいわけです。
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