以上のような課題を踏まえ、先生方にご提案したいことの一つは、ペーパーテストに頼らない評価法も導入して、評価のバリエーションを増やすということです。ディベートの力を測りたい場合、教室での実際の活動を評価対象としてはどうでしょうか。ディベートの相手やテーマによって、生徒全員の条件が均一になりにくいので、十分な観察回数を確保するなどの配慮が必要です。測りたい力を直接的に評価することが必要だということです。
大切なのは、測りたい力の定義をはっきりさせ、それに合った評価法を選ぶことです。ディベートの力とは何か、ディスカッションの力とは何かと突き詰めて考えれば、それに合う評価法が見えてくるはずです。
特にSELHi校の場合では、多様なスタイルの指導が授業に導入されています。そのため、指導内容と評価法をトータルに考え、アドバイスする立場の人が、指導の準備段階から必要でしょう。外部の専門家に評価のポイントだけでも、助言を求めるのも一つの方法です。
また、外部テストを利用する際、選択のポイントとなるのは「妥当性」と「信頼性」です。妥当性は、測りたい能力に合ったテストかということ。そして、信頼性は、測定誤差が少なく、正確に力が測れるテストかということです。信頼性に関しては、テストの信頼性を公表しているかという点が、一つの選択基準になるかも知れません。
先生方は、高校では学習指導要領に沿った評価も行わなければならず、評価に関する負担は大きいと思います。だからこそ、定期テストなどと合わせて、評価軸の一貫したテストを継続的に取り入れることは重要だと思います。ベネッセがSELHi校に対して行った調査結果(Column参照)を見ると、英語力指標の必要な条件として、「複数回受検による級・スコアの伸びの把握」を挙げており、現場も必要性を感じているようです。評価テストは、生徒自身が学習成果を実感して、学習意欲を高めるものであるべきです。その際、できれば出題内容や評価の幅が、自校の生徒の現状に合ったテストを選ぶと良いでしょう。例えば、高校生にいきなり大学留学生向けの英語テストを受検させるのは適切ではありません。テストが測定しようとしているレベルが高すぎて、学習成果が表れにくいからです。
生徒の英語に対する学習意欲を高めるためには、小さな伸びでもスコアやレベルに反映されるようなテストを実施することが大切ではないでしょうか。
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