ベネッセコーポレーションでは1990年からほぼ5年ごとに、小中高生の 学習意識や実態を把握するための「学習基本調査」を行っている。 4回目となった06年の調査では、偏差値50前後を境にして、 学習時間や学習意欲に差が見られ、二極化が進んでいることがわかった。
図1は、家庭学習時間の推移を表している。今回の2006年調査では、平日の平均家庭学習時間は70.5分で、「ほとんどしない」と「およそ30分」という回答が4割を占め、01年調査と大差は見られなかった。
しかし、偏差値帯で分けた学校群別で平均学習時間を比較すると、大きな変化が見られる(図2)。偏差値50以上55未満の学校群だけが、01年調査から学習時間が減少している。更に、16年前の90年調査から回を追うごとに学習時間が減っている。90年調査では112.1分と、偏差値55以上の学校群と同程度だったが、06年調査では60.3分とほぼ半減し、偏差値45以上50未満の学校群と同じくらいまでに落ち込んでいる。
この変化の背景の一つは、中堅大以下の入試の易化やAO・推薦入試の拡大により、大学に入りやすくなったことが考えられる。生徒にとって、受験は学習の動機付けになりにくくなってきているのかもしれない。 「勉強をする生徒、しない生徒の二極化」という話は学校現場でもよく聞くが、それが裏付けられた結果となった。偏差値50以上55未満の学校群の学習時間減は、今後の課題といえそうだ。