出された課題には素直に取り組むが、自ら課題を見つけ、 学習しようとはしない――。 生徒の学習意識や学習行動についての調査結果から、 そうした高校生像が浮かび上がってきた。 何事にも受け身な生徒を、どうやって主体的な学びに向かわせるか。 調査結果を基に、現場の実践事例を踏まえながら考える。
調査結果から浮き彫りになった高校生の実態
1.家庭学習時間の 二極化
◎偏差値50以上55未満の学校群の生徒の学習時間は、年々落ち込んでいる。一方、偏差値55以上の学校群の生徒の学習時間は前回調査より増加。勉強する生徒としない生徒の差が広がった。
2.宿題はやるが、 予習はしない
◎宿題や課題をしっかりやる生徒が増えている。しかし、勉強をしても復習が中心で、予習まではしない。こうした傾向は、偏差値55未満の学校群の生徒に顕著に表れている。
3.「そこそこ」で 満足してしまう
◎「できるだけいい大学に入りたい」という志向より、「どこかに入学できればいい」という意識の生徒が増えている。特に、偏差値50未満の学校群の生徒はそうした意識が強いという結果が出た。
【P.2「調査結果」】
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課題 受動的な学習から主体的な学習への転換を
課題解決への3つのポイント
1.やるべきことを しっかりできる生徒に
◎やるべきことにもしっかり取り組めないようでは、主体性は育たない。まずは課題にしっかり取り組む姿勢が重要だ。導入期指導や宿題などを活用し、学習への基本姿勢を身につけさせたい。
【P.5「座談会」、P.11・P.13「学校事例」】
2.生徒に自信を持たせ、 目標を掲げさせる
◎自信が持てれば頑張ろうという気になる。学習だけでなく、日常生活のあらゆる場面で生徒を褒めることが前向きな意欲につながる。先輩の体験など、生徒の目標となる姿を見せることも有効だ。
【P.5「座談会」、P.13・P.15「学校事例」】
3.ときには生徒に任せる という教師の意識
◎生徒に判断させたり、任せたりしなければ、いつまで経っても独り立ちはできない。学習面も生活面も単に教え込むだけでなく、ときには生徒から手を離すという教師の意識の転換も必要だ。
【P.5「座談会」、P.15「学校事例」】
今回、先生方と共に考えたいテーマは 「主体的な学習への動機付け」です。
ベネッセが小中高生を対象に行っている「学習基本調査」では、小中学生は前回の2001年調査に比べ、家庭学習時間がやや回復していました。しかし、高校生は初回の90年調査から減少し続けています。特に減少率が高かったのが、偏差値50以上55未満の学校群の生徒でした。大学入試が全体的に易化する中、学習への動機付けをどう持たせていけばよいのか。現場でのさまざまな取り組みをご紹介しながら考えたいと思います。