特集 受け身から主体的な学習に向けて

東京都立南多摩高校

◎2008年に創立100周年を迎える東京西部・多摩地区の伝統校。「高い志」「豊かな心」「国際性と社会性」を掲げ、海外帰国生徒も受け入れている。2010年に開校する「八王子地区中高一貫6年制学校」の母体校として新たな歴史を刻む。

設立●1908(明治41)年

形態●全日制/普通科/共学

生徒数(1学年)●約320名

06年度進路実績●東北大2名、筑波大3名、東京学芸大6名、横浜国立大5名、首都大学東京16名など国公立大に58名が合格。私立大には慶應義塾大2名、早稲田大33名のほか、明治・青山・立教・中央・法政の5大学には延べ221名が合格。

住所●東京都八王子市明神町4-20-1

TEL●042-642-2431

WEB PAGE●http://www.
mt-h.metro.tokyo.jp/

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
  PAGE 13/17 前ページ  次ページ

【学校事例・2】

東京都立南多摩高校

導入期指導の充実と進路意識の醸成に力を注ぐ

志望大の選択肢が数多く、併願パターンが固定化されていないという首都圏ならではの事情を抱える東京都立南多摩高校。模試の分析から、2年生になると学力が落ち込む実態も見え、学ぶ意欲を引き出す取り組みを始めた。

2年生の中だるみ防止に 導入期指導を強化

 1年生の1月に受ける模試に比べ、2年生の7月に行う模試の方が、学年全体の平均偏差値が5ポイント近く低くなる……。3年前、南多摩高校の進路部主任の飯島亮先生が、模試の結果を見ていて気づいたことだ。翌年もほぼ同じような傾向が表れた。
 「2年生になると部活動や学校行事で責任ある立場になり、生活が忙しくなります。だからこそ、1年の後半までには自分の学習スタイルやノウハウを確立しておかなければなりません。そのためには、1年生の1学期の指導が肝心だという結論に行き着きました」(飯島先生)
 そこで、同校では、導入期指導を充実させた。入学前には「教科学習の手引き」を配付し、入学前教育として作文や数学の副教材などの宿題を課す。入学後には「教科学習ガイダンス」を開き、各教科の勉強法を説明するようにした。
 1年の5月中旬には、「スタディーサポート」を活用し、中学校時代の学習習慣や意識を踏まえた面談を行う。更に、学習時間を確保するため、教師によってまちまちだった宿題を教科内で統一して出している。
 「以前は、宿題の有無は個々の教師に任されていました。しかし、それではほとんどの生徒が家庭学習をしていませんでした。そこで、課題を出し、徹底してチェックするようにしました」(飯島先生)
 2006年度の2年生は、ホームルームなどに充てていた時間を使い、国数英の小テストを不定期に行うようにした。また、1、2年生の模試に関しては結果分析会を開き、次回への対策を練るようにしている。
 「今年度の2年生は、他学年に比べて平均偏差値の低下が若干小さくなりました。小テストの効果があったのかもしれません」(飯島先生)
 こうしたきめ細かい学習指導が必要になった背景には、都立高校の学区制撤廃もあると、飯島先生は話す。
 「本校には比較的おとなしい生徒が多いと感じます。自由を求める活発な生徒は、旧学区外にある同程度の難易度の高校の中から、私服の学校を選ぶようです。そのためか、わからない問題があっても自分から聞けず、そのままにしてしまう生徒が多くなったように思います。課題提出を徹底したり、学習の仕方などから丁寧に指導したりしていかなければ、生徒は伸びないのが現状です」


  PAGE 13/17 前ページ 次ページ