予習中心の授業を始めてから4年。生徒には確実に学習習慣が身につき、学習時間は成績層に関係なく伸びている。一方で、課題も見えてきた。
一つは、教科書ガイドの使用率が高いことだ。授業で明らかにガイドの模範解答を写してきたとわかる答えを書く生徒がいる。そうした生徒には、本当に問題を理解しているのか質問すると共に、ガイドは復習で使うようにと厳しく指導している。
二つめは、成績下位層のフォローだ。予習をさぼりがちな生徒にはこまめに声をかけるようにしているので、全く予習をしてこない生徒は少ないと渡辺先生は話す。
「むしろ問題は、一生懸命に予習をしてもわからないという生徒です。頑張っても理解できないと、勉強しなくなるという悪循環に陥りやすい。そうした生徒を把握するためにも、机間指導は重要になります」
期末考査後(7、12月)には、朝45分間の特別講座を1週間ほど行う。更に、演習のみの時間を設け、復習に充てるなどの対策を取っている。
成績上位者に対しては、難易度の高い問題のプリントを配付し、添削をしたり、隔週で行う土曜講座でレベルの高い演習をしたりしている。
教科書選びも重視する。
「例えば数学では、例題と練習問題がリンクしていない教科書があります。これでは『教科書だけではわからない』という生徒の逃げ道をつくってしまうことになります。予習して効果があるという観点から、教科書を毎年選んでいます」(鮎川先生)
単元によっては、予習の範囲を指定したり、プリントの有無を決めたりと、生徒が予習しやすいように工夫している。
「時間をかけて、わかるまでじっくりと教える」というスタイルではなく、「早く進め、繰り返し解かせて定着を図る」という指導を基本とする加治木高校。与えられた課題をこなすという意味では、予習とはいえ主体的な学習と言いきれない面もある。しかし、「まずは学習に向かわせることが大切」と渡辺先生は考える。「生徒の学習時間が増え、難しい問題にも粘れるようになったのは確か。この成果を次につなげたい」と意欲を語った。
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