加治木高校は、2003年度から学校全体で、国数英は予習を前提とした授業内容にしている。その理由を、「学習習慣の確立と共に、自分で考える力を育むため」と、進路指導部主任の鮎川武良先生は話す。
「本校に入学してくる生徒の中学時代の通塾率は、7割を超えています。課題を与えられ、わかるまで丁寧に教えてもらうということに慣れています。しかし、高校の学習、ひいては大学入試では、自分で考えることが求められます。悩んでもじっくり取り組む姿勢を身につけさせたいという狙いもあり、予習を宿題のように課すことにしたのです」
しかし、中学校では、予習はもちろん、復習もしていなかった生徒が少なくない。そこで、そのやり方を指導するため、入学式後の2日間で国数英の学習オリエンテーションを行っている。1教科3コマを使い、1コマ目は実際に教科書を使いながら予習をさせ、その方法を指導する。2コマ目はその予習を基に授業をし、3コマ目は10分ほど復習して、残りの時間で次の予習をする。予習・授業・復習の流れを体験させるわけだ。
予習の仕方は具体的に指導する。例えば、数学では、教科書の例題や解説を読み、大切な箇所に下線を引く。例題を参考にして教科書の練習問題を解き、わからない所に印を付けるといった具合だ。「この悩んだという体験があるからこそ、授業をきちんと聞こうとするし、確実な理解につながります」と、2学年担任の渡辺豊隆先生は予習の利点を話す。
このほか、年度当初にシラバス(図1)を配付。各教科の目標、年間授業計画を示すと共に、家庭学習の仕方も詳細に明記し、生徒がいつでも自己評価をできるようにしている。
授業は、最初の5分間に、数名の生徒を指名し、黒板に予習してきた練習問題を解かせることから始まる。この間、教師は机間指導し、予習してきたかどうかをチェックする。生徒の解き方を見て、どこがつまずきやすいのかをつかみ、授業でそのポイントを集中的に説明することもあるという。
授業は、成績中・上位層に合わせて行い、入学直後でも授業のスピードを緩めるようなことはしない。
「例えば数学では、1年次の最初の内容は中学の学習内容と重複しているので、進度が速くても生徒はついてくることができます。高校の授業スタイルに慣れさせるためにも、最初が肝心です」(鮎川先生)
復習としては、数学の場合、B5サイズのプリントを1枚配付し、翌日回収してチェックしている。英語は小テストを授業の初めに行うことで復習につなげている。
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