生徒に自信を持たせるような指導は、同校の活動の随所に見られる。
「本校は学区の3、4番手の進学校ということもあり、入学時から自信のない生徒が少なくありません。特に、今の生徒は教師に褒められることを喜びます。課題を出す一方、機会を見つけては褒めることで、生徒の自己肯定感を育てることが、まず大切だと考えました」(赤藤先生)
その重要なアイテムの一つが、機を見て発行される学年通信だ(図1)。例えば、文化発表会の報告では、受賞したクラスを称え、そのほかのクラスはすばらしかった点、努力した点など、教師が評価する文を載せた。体育大会後は、だれがどう頑張ったのかを生徒が書いた文を掲載した。生徒同士が認め合うことで、自己肯定感を高めようとしているのだ。
校内の掲示板には、生徒の優秀なレポートや作品などをどんどん張り出す。取り上げられた生徒は自信を高め、ほかの生徒は次の作品を仕上げるヒントを得ることができる。
「褒める場面は日常生活にいくらでもあります。例えば、大学説明会のポスターを眺めていた。それだけでも、進路に対する関心の深さを褒める材料になります。生徒の意識や行動の変化を見逃さず、一人ひとりの成長をしっかり受け止めることを大切にしています」(赤藤先生)
テストで自信をつけさせることも、重要な施策の一つだ。赤藤先生の学年では、06年3月、1年生1月の進研模試の成績が落ち込んだことを受けて、学年会議で話し合い、急遽、終業式直前の日程で弱点分野の補強を目的とした年度末テスト(国英各25分、数40分)を行った。生徒には各自で学習計画を立てて臨むよう指導。各教科で合格点を設定し、未達成の生徒には春休みまで追試を繰り返した。その結果、2年生4月の「スタディーサポート」で弱点部分の点数が大きく上昇した。「努力をすれば確実に結果につながることを、生徒は体感できた」と赤藤先生は話す。 |