谷口健太郎さん
たにぐち・けんたろう 横浜国立大大学院工学府物理情報工学専攻博士後期課程2年
松本知子さん
まつもと・ともこ 横浜国立大大学院工学府物理情報工学専攻博士後期課程2年
―研究内容を教えてください。
谷口 私のテーマはセンサーネットワークです。将来、家電製品やさまざまな電子機器にセンサーが付き、相互に通信データをやりとりできるようになります。センサーが通信をするとき、送信データを基にしたセンサーの位置推定や、データが伝わる経路などについて研究しています。具体的な手法としては、コンピュータ上でネットワークのシミュレーションをして動作を解析したり、小型の機材を使って位置の検出や動作の確認をしたりします。
松本 私はUWBの通信路で起こる通信の誤りを訂正する符号について研究しています。一般に、通信データはあらかじめコーディングすることで、安定した通信ができます。しかし、無線で通信する際、ときには送られたデータが誤って届いてしまう場合があります。コンピュータ上でのシミュレーションによって、そうした誤りが起きないようなコーディングの新しい方式を考えています。
―研究を進める上で、どのような点が大変ですか?
谷口 学部の授業は基本的に受け身であっても進めることはできますし、与えられたものをこなしていけばそれなりの評価は得られます。しかし、研究室では自分でテーマを見つけて、自ら積極的に動かなければ何も進みません。最初はそうした環境に戸惑いを覚え、かなり悩みましたね。
松本 最初は的外れな提案をしてしまうこともありましたが、今、研究のコツがつかめてきたのも、そのころの苦労があったからだと思います。
―実践的な学びの機会も多いようですね?
谷口 先生自身プレゼンが上手ですから、その姿を見て、効果的なプレゼンの方法を身につけられていることを感じます。オープンキャンパスで高校生に説明するとき、あるいは企業の研究者や専門家に話をするときなど、相手によってプレゼンの方法を変える技術も身につきました。
松本 年に1~2回、海外の国際会議で発表する機会があることも良い経験になっています。この研究室に所属する学生の3分の1は外国からの留学生です。ですから、研究室のミーティングも英語で行うことが多く、語学力を高めるためにも良い環境です。
谷口 高校時代は受験科目に偏った勉強をしがちです。しかし、研究室に入ると、それ以外のスキルも大切なことがわかりました。 私は高校時代、受験科目にはない小論文を履修していました。今、論文を書くときに、この経験が役立っています。高校時代からあまり科目を絞り込まず、興味のあるものはどんどん吸収してください。
松本 日本では女性の研究者はまだ少ないのが現状です。 ただ、先輩の研究者の例を見ても、研究職は成果を出した人が認められるので、女性でも十分活躍できるチャンスがあることがわかります。 工学は取っつきにくいと思うかもしれませんが、物づくりに興味がある人には、選択肢の1つにしてほしいと思います。