現在、研究室では研究領域を拡大しています。UWBを中心に、コーディング(※10)、ITS技術(※11)、アレーアンテナ(※12)、ソフトウエア無線(※13)、医療情報通信技術の6分野が研究対象ですが、どの分野もこれまでだれも研究していないテーマばかりです。
この6分野は、一つの技術から派生しました。コーディングはCDMAの技術の基礎となりますが、これがGPS(※14)や車の衝突防止レーダーなどのITS技術に発展しました。
次がアレーアンテナです。アンテナというのは通常、テレビ用、携帯電話用など、用途に応じて設計します。パソコンはソフトウエアを換えるだけで多様な機能を持たせられますが、それと同じように、ソフトウエアを換えるだけで一つのアンテナをさまざまな用途に転用できる技術です。
この考え方を無線機全体に応用したのがソフトウエア無線です。携帯電話の構造は、大きく無線の回路部分とCPUの部分に分かれます。CPU部分では、ソフトウエアで変調(※15)や符号化、セキュリティの暗号化(※16)などを行いますが、そのソフトウエアを換えることで、携帯電話がテレビになったり、無線LANの端末になったりすることができます。
最近では、05年に学内に設置した未来情報通信医療社会基盤センター(※17)長を務め、無線通信の技術を医療分野へも応用しています。
私は、無線通信の分野でUWBを軸として、次々と研究領域を広げています。今後、無線通信分野は金融や医療、エネルギー、物流などさまざまな分野と融合しながら、更に伸びていく可能性を持っています。未踏の領域を開拓する意欲と、日本の産業の発展に寄与したいという意欲を持った方は、是非挑戦してほしいと思います。
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