未来をつくる大学の研究室 情報通信工学
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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教育方針と方法
プレゼン力と問題探索能力は必須のスキル

 国際会議や標準化会議で議論をリードできる人材を育てることも、私の大切な仕事です。学生に身につけてほしい力の一つは、プレゼンテーション力です。 以前カナダのトロント大学での客員研究員時代に痛感したのは、日本人はプレゼンテーション力が弱すぎるということです。
 学生には、世界トップレベルの研究者の論文を多く読むように指導しています。良い論文は研究のネタの見つけ方や内容がきちんとまとめられているので、研究の仕方と同時に、プレゼンテーションの方法も学べます。 4年生には毎週のゼミでプレゼンテーションをさせ、大学院生には英語で論文を書かせ、留学生らと英語でのディベートや、国際会議での発表を多数させています。
 もう一つ重視するのは、問題探索能力と解決能力の養成です。中でも、問題探索能力は大切です。 研究室では、学生自身に研究テーマを見つけさせるため、それにかける時間が圧倒的に長いですね。4年生の12月になっても卒論テーマが決まらない学生もいました。 私から「これをやりなさい」とは言いません。研究させたいテーマがあれば、それとなくヒントを与え誘導します。教員に与えられたテーマで研究を行うのと、自分で見つけたテーマで行うのとではモチベーションが全く違うからです。
 私の研究室の大学院生は、企業との共同プロジェクトにも研究者として参加しています。共同研究というよりも、むしろ企業の事業部や研究所の方に教える立場として参加します。 そのため、在学中に就職しないかと企業から声をかけられることも珍しくありません。将来、企業の研究をリードできる人材が輩出するのも、在学中から世界で戦える実践力を身につけているからなのです。

写真3
写真3 電子顕微鏡で、超伝導デバイスで構成された世界初のマイコンチップ・メモリなどを見る。抵抗がないので熱が上がらず超高速演算が可能だ。

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