一連の取り組みの成果は、1年後に早くも表れた。06年度入試での国公立大合格者数は、前年の1名から一挙に8名になった。センター試験受験者は11名を数え、07年度は57名に達している。
宇都宮大で開かれる公開授業には、県内の高校全体から24名の生徒が参加しているが、そのうちの20名は同校の生徒だ。県内の農業科の生徒を対象とした講座「アグリカレッジ」も年10回ほど行われているが、これにも同校からは現在15名の生徒が参加している。志を持って、進学を目指す生徒が増えつつあるのだ。
しかし、最も大きな成果は、教師の進学に対する意識が高まってきたことだ。同校では、1年生の秋に次学年の選択科目を決定する。将来の進路にもかかわるとあって、学年団から進学係に「大学受験についての説明会を開いてほしい」といった要望も出されるようになった。柴田校長のビジョンが浸透した上に、06年度入試の躍進が影響したのだろう。
「専門高校には、たとえ英語や数学が苦手でも、潜在能力の高い生徒が大勢います。生徒の隠れた力を見いだし、可能性を広げられるかどうかは、私たちの努力にかかっています。教師全員が『宝物』を発掘するような気持ちで指導にあたることで、更に多くの人材を大学に送り出すことができると思います」(柴田校長)
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