以上のことから、中学生の多くが、人間関係に何らかの悩みや不安を感じていることがわかる。その一因として、一人っ子が多く、きょうだいとのやりとりが少ないことや、地域社会の人間関係が希薄になったことで、異年齢の子どもとの付き合いが減少したり、保護者以外の大人と話す機会が少なくなったりしたことを挙げる声もある。つまり、今の子どもは、年上や年下の相手との衝突や譲歩、妥協、和解といったことを含む豊かなコミュニケーションを通して社会性を養う体験が少なくなってきたとする意見だ。
そもそも、多くの子どもたちは中学校に入ると、学習量の多さ、授業進度の速さに戸惑いがちだ。それに加え、複数の小学校から生徒が集まるため、子どもたちは進学に伴って人間関係を新たにつくり直すことが求められる。学習面、そして生活面での急激な変化がストレスとなり、いじめ、不登校といった形になって表れることもある。
小学校では、クラス担任制が基本であり、クラス担任とクラスの子ども集団との関係は密接だ。しかし、教科担任制が採られている中学校では、授業ごとに先生が替わることになる。そのため、クラス担任をはじめとする教師と子どもとの関係は小学校のときと比べると相対的に希薄になってしまう。そうした教師と子どもとの関係の変化も、子ども同士の人間関係や社会性などに影響を及ぼしているのかもしれない。
|