そうした課題を踏まえ、最近では、通常の授業に比べて学年を縦断した編成が組みやすい「総合的な学習の時間」などで、異学年混合のグループを構成し、調べ学習などを実施する中学校も増えてきた。補習授業の講師を大学生や地域のボランティアに担当してもらう学校も出てくるなど、さまざまな動きがある。
職場体験は既に多くの中学校で実施されているが、その取り組みも進路意識の醸成だけを目的としているわけではない。保護者や教師以外の大人と接することで、生徒の「人間関係を考えるよいきっかけ」となることも目的としている。
また、子どもの人間関係に広がりを持たせることを、校内の荒れやいじめ、不登校といった問題の解決の端緒とする動きは、近年、中学校の現場でもよく見られる。例えば、円滑な人間関係のための基礎づくりとして、生徒同士がお互いの胸の内を開示し、本音を語り合う「構成的グループ・エンカウンター」は、中学校で取り入れられることが多くなってきた。
このように、中学校では、人間関係づくりや人間関係を広げるため、校内はもちろん、大学生や地域の人々などの協力を得て、さまざまな取り組みを行っている。それは授業だけでなく、日常生活の中でも行われている。次ページからは、教育カウンセリングの手法に基づき、コミュニケーション・エクササイズなどの実施に取り組む愛知県豊橋市立本郷中学校の事例を紹介する。
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