真のリーダー育成を目指して 神奈川県私立聖光学院中学校・高校
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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芸術を含めた幅広い教養が必要

――教科指導に力を入れる一方、御校では多様な選択講座を用意して、生徒の知的好奇心を喚起しています。御校の理念を実現する上で、正規の授業以外の取り組みが果たす役割はどのようなものでしょうか。

 

工藤 文系・理系を問わない幅広い教科学力は大切ですが、真のリーダーにふさわしい人格を養うためには、芸術を含めた幅広い教養と感動する心を養うことも欠かせません。本校では、正規の音楽や美術の授業とは別に、中学2年生には「選択芸術講座」を必修としています。バイオリンや陶芸、絵画などの中から一つを選び、1年間、第一線で活躍する専門家の指導が受けられる授業です。
 大学入試だけを考えるのなら、こうした授業は必要ないでしょう。しかし、人の痛みを知り、人間的な幅を身につけるには、芸術的な感性も大切です。今の子どもたちは、五感をすべて使って何かをするという経験がそれほど多くはありません。自分自身の手を使って、苦心して楽器演奏や絵画制作を行うことで、芸術の偉大さ、ひいては自分の存在の小ささを知ることもできるのです。

 

安宅 本校には正規の授業カリキュラムや学年の枠を超えた体験型の学習講座である「聖光塾」があります。「天体観測講座」「裁判の傍聴」「海辺の生物」など、知的好奇心を喚起するアカデミックな内容から、生きる力を育む体験的な学習まで、幅広い活動を展開しています。例えば、2年前の「バイオテクノロジー講座」では、大腸菌の遺伝子にホタルの光素を組み込み、光る大腸菌をつくりました。その上で、この技術を使って何ができるのかを生徒に投げかけます。生徒たちは「同じことをしても、環境が異なれば結果も変わるのではないか」という仮説を立て、温度や光を変えるなどして、自分たちなりに工夫をし、結果をプレゼンしました。頭の中だけで理解するのではなく、実際に手を動かして体験させることが大切なのです。

 

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