以上、各類型別の特徴や課題を見てきた。6年間を見通してどのような指導方針を立て、それを実践していくのか、そのために、中高の教師がいかに連携していくのかという点が、中高一貫校の成否を決めるポイントになると、工藤部長は指摘する。
「中高が分断されている状態では、互いのことを知らないために、中学校は、とにかく一生懸命に生徒の面倒を見て高校に送り出す、高校は、生徒が中学校で受けてきた指導を知らないまま、一から指導を模索するということになりがちです。生徒の成長は連続しているという視点に立ち、中学校は高校の指導を見据え、高校は中学校の内容を踏まえた指導を追求することが、互いの指導改善につながるのです」
中高の教師が乗り入れ授業や研究授業などを通して交流することによって、「中2で学ぶ単元は高1のあの単元につながっていく」「高2でこの公式を理解するためには、中学校でこの単元を習得させる必要がある」といった気づきが生まれ、中高の指導改善に生きるというわけだ。更に、工藤部長は「中高一貫校の取り組みは、一般の中高連携にも示唆を与えるものになる」とも指摘する。
「多くの中高一貫校では6年間を見通した指導計画がつくられています。『総合的な学習の時間』も6年間で考えている場合が多い。そうした系統性のある指導計画は、一般校が中高連携を行う際、参考になる部分があるのではないでしょうか」
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