中高一貫校には、三つの設置形態とも、教育課程の特例が認められている。中学校では、選択教科の上限緩和(※1)と新しい選択教科の設置(※2)が可能だ。高校では学校設定教科・科目の単位数を増やすことができる。例えば、中学校で選択教科「環境」を、高校で学校設定科目「環境」を設置し、連続した教育を行うことが可能になる。工藤部長はこうした特例こそが、中高一貫校の特徴を決める最大の要素になると強調する。
「中高一貫校の特徴を規定するのは、設置形態ではなく、各校がどのような生徒を育てようと考えているのかということです。例えば、コミュニケーション能力の育成に力を入れる学校、科学的な素養の育成を目標に掲げる学校など、育成したい生徒像に基づき、どのような教育課程を編成し、指導していくのかが重要です」
中等教育学校と併設型の特例措置では、高校の内容を中学校に前倒ししたり、中学校の単元を高校に先送りしたりするなど、相互に学習内容を入れ替えることも可能だ。ただ、先取り学習をするとしても、その範囲は同一教科内の特定の単元に関して、中高の順番を入れ替えたり、関連の深い単元をまとめて教えたりするなどにとどまるようだ。
よく指摘されるように、高1の1学期の内容を中3の3学期に行うというような、全教科的な前倒しは少ない。公立校である以上、受験学力の伸長だけを目的とせず、適度な進度とバランスを保った教育課程の編成が求められているのである。
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