特集 公立中高一貫校から学ぶ中高連携
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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体系的な教育課程を編成する中等教育学校

  中等教育学校は中学校段階を前期課程、高校段階を後期課程に分けてはいるものの、6年間が一つの学校として連続しているため、6年間を見通して体系的な教育課程を編成しやすい。しかし一方で、併設型のように途中入学がないために、生徒の人間関係が固定化しやすいというデメリットがある。中学校段階を終えた時点で、ほかの高校に移ることは可能だが、転校は心理的に難しい。中学校段階を終えた時点で「リセット」したい生徒にとっては、束縛を感じる場合もあるかもしれない。
 また、6年間という長期になるため、中だるみを引き起こしやすい点もデメリットとして指摘されている。多くの学校で、6年間を「2・2・2」あるいは「2・1・1・2」といった段階に分け、各ステージで学習面や生活面に変化を持たせて、中だるみを防ぐ工夫をしている。

中高それぞれの独自性が強い併設型

  併設型は、そのほとんどが中学校と高校が同じ敷地内に設置されているが、教育課程としては分かれている。そのため、6年間を見通した教育を行えると同時に、中高それぞれの特長を生かした教育課程の編成も可能だ。それには、中学校の入学者(内進生)には一貫教育校としての魅力を、高校から入学してくる生徒(外進生)に対しては高校としての魅力を備えることがポイントになる。
 「特に、高校はほかの一般校との競争的な環境に置かれており、従来以上の魅力を打ち出す必要があるでしょう。外進生にとっては、一貫教育を受けてきた内進生と途中から合流するわけですから、『ついていけないかもしれない』といった不安を抱く場合もあります。外進生に対して他校にはない魅力は何か、を考える必要があるでしょう」
 もっとも内進生は、外進生が入ってくることで刺激を受けられるというメリットがある。そのため、意図的に内進生と外進生を融合させ、互いに切磋琢磨させている高校も多い。
 校務運営に関しては、一つの学校である中等教育学校に比べ、中学校と高校の教師の連携が課題となる。
 「設置上、中学校と高校は別の組織ですが、生徒は継続して学校生活を送る以上、それを踏まえたより一体的な学校運営が求められます。教科組織や分掌の融合を図ると同時に、指導の方針や生徒の状況について情報を共有することが大切です」
 そのため、高校籍の教師を中学校に異動させ、中学校からの持ち上がりとするなど、部分的に高校教師が中学校に乗り入れる場合もある。また、職員室や分掌を中高で一体化し、情報共有や意思疎通に努める学校も少なくない。一貫校においても、中高の教師の連携は克服すべき課題として受け止められているのである。


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