中高一貫校の導入については、既に1971年の中教審答申において提言されていた。同答申では、中等教育が3年ごとに分割されているため、「十分な観察と指導による適切な進路の決定にも問題がある」と指摘し、入試による選別に依拠しない中高一貫教育の試行が提案された。
国立教育政策研究所の工藤文三・初等中等教育研究部長は、同答申について「12歳から18歳は、子どもが『自分に何ができるのか』『何に向いているのか』など、自分の適性を探り、進路を決めていく年齢に当たります。そのデリケートな時期が、中学校と高校とに分断されていることに対する問題意識が明確に示されました」と、その意義を強調する。
76年に始まった旧文部省の研究開発学校制度の中で学校間連携の取り組みとして具体化、85年の臨教審答申で中等教育の構造を柔軟にするため、6年制中等教育学校が提言された。そして、97年の中教審答申「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」において中高一貫教育制度の選択的導入が改めて提言され、99年に中高一貫校が制度化された。
「最初の答申が出されたころは高校の増設期に当たっていたことから、制度導入には至りませんでした。高校の新設が一巡し、高校進学率も9割を超えたことで、導入に向けた議論が加速したと思います」と工藤部長は分析する。文部科学省の集計では、06年度現在、全国に197校(うち公立は132校)が設置されており(図1)、07年度以降も41校が設置される予定だ。
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