「中高一貫教育校」が制度化されて8年――。 中高一貫教育校(以下、中高一貫校)は、07年3月現在、 全国で197校(うち、公立は132校)が設置されており、 各校は自校の特色や地域のニーズを踏まえ さまざまな教育を展開している。 そうした取り組みの中から、中学校と高校を 接続する上での成果や課題が見え始めてきた。 今号では、公立中高一貫校の現状を踏まえ、 中高連携のポイントは何かを探っていく。
公立中高一貫校での中高連携の現状
形態
中等教育学校
1つの学校組織で生徒は内進生のみ
併設型
中高別々の学校組織で内進生と外進生がいる
連携型
中高別々の学校組織でゆるやかな連携
【関連記事はP.2「インタビュー」】
取り組みの特徴
職員室、分掌、会議の 合同化が進む
◎公立中高一貫校のほとんどの学校では、中高の教師が同じ職員室を使い、会議も月1、2回の割合で合同で行っている。分掌も中高で同一とし、中高の区別なく生徒指導にあたっている。
中高相互の乗り入れ授業が進む
◎高校教師が中学生に教えることは、公立中高一貫校ではほとんどの学校で行っている。教育課程の特例を活用し、高校の学習内容の一部を中学校の授業で教える学校も少なくない。
【関連記事はP.6「調査結果」】
学校事例
中高をつなぐ進路学習
2002年度中学校併設
岡山県立 岡山操山中・高校 【P.7「学校事例1」】
中高をつなぐ教科学習
2002年度中等部併設
静岡県立 浜松西高校・中等部 【P.9「学校事例2」】
中高をつなぐ教師連携
2003年度中学校併設
佐賀県立 致遠館中学校・高校 【P.11「学校事例3」】
「サイエンス」をコンセプトに
2004年度附属中学校併設
京都府立 洛北高校・附属中学校 【P.13「学校事例4」】
専門学科が母体の一貫校
京都市立 西京高校・附属中学校 【P.15「学校事例5」】
都立一貫校のビジョン
2006年度開校
東京都立 小石川中等教育学校 【P.17「学校事例6」】
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中高連携を図る3つの視点
1.中高が互いの指導法を知る
◎中高一貫校の教師からは「実際に中学生(高校生)を指導して、初めて実態がわかった」という声をよく聞く。実際、指導の手法や評価の観点など、中学校と高校ではかなり異なる。まずは、互いがその違いを認識することが重要だ。
2.中高の間を取り持つ「通訳」が必要
◎中学校と高校それぞれの特徴を踏まえつつ、各課程の目標を達成するためには、中高の違いを知り、その間を取り持つ存在がいるとスムーズだ。中高一貫校の指導を経験した教師が中核になるのではないか。
3.第三者として「地域」に入ってもらう
◎公立校の教育目標の1つに、「地域貢献」が挙げられる。地域を軸とすれば、話し合いの場を設けることも可能だろう。中学校と高校が「地域の人材育成のために」と同じ土俵に乗ることで、中高連携も進むのではないだろうか。
【関連記事はP.19「座談会」】