特集 公立中高一貫校から学ぶ中高連携

京都府立洛北高校・洛北高校附属中学校

◎1870年開校の京都府中学校を前身とした伝統校。ノーベル賞受賞者2人が輩出する。2004年度から中高一貫教育を開始。育てたい力は「深い洞察力」「論理的思考力」「豊かな創造力」。世界に羽ばたける人材の育成を目指す。

設立●高校:1870(明治3)年、附属中学校:2004(平成16)年

形態●高校:全日制/普通科(第Ⅰ類・第Ⅱ類・第Ⅲ類)/共学

生徒数(1学年)●高校:約280名(内進生2クラス、外進生5クラス)

06年度進路実績●高校:国公立大には、京都大、大阪大、大阪市立大、神戸大、滋賀大、信州大など63名が合格。私立大には、立命館大、同志社大、関西大、関西学院大など延べ492名が合格。

住所●京都府京都市左京区下鴨梅ノ木町59

TEL●075-781-0020

WEB PAGE●http://www1.
kyoto-be.ne.jp/rakuhoku-hs/

※同校の取り組みはVIEW21高校版2004年6月号でも紹介しています


京崎秀樹

▲京都府立洛北高校副校長

京崎秀樹

Kyozaki Hideki

教師歴31年目。同校に赴任して3年目。「自ら進んで真実を確かめようとする生徒を育てたい」

沖田悟傳

▲京都府立洛北高校附属中学校副校長

沖田悟傳

Okita Noritsugu

教師歴27年目。同校に赴任して4年目。「生徒の感性を磨き、個性を伸ばして、才能を開花させていきたい」

山口洋典

▲京都府立洛北高校

山口洋典

Yamaguchi Hiromichi

教師歴24年目。同校に赴任して7年目。進路指導部長。「夢を実現させる情熱と決断する勇気を与えたい」

西村勝利

▲京都府立洛北高校附属中学校

西村勝利

Nishimura Katsutoshi

教師歴26年目。同校に赴任して4年目。中学校教務主任。「『気づき』を大切にした教育をしていきたい」

宮島勇二

▲京都府立洛北高校

宮島勇二

Miyajima Yuji

教師歴17年目。同校に赴任して4年目。教務部長。「Leadership is example」


*本文中のプロフィールはすべて取材時(07年3月)のものです

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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【学校事例・4】「サイエンス」をコンセプトに

京都府立洛北高校・洛北高校附属中学校 ◎ 併設型(04年度に附属中学校を併設)

基本理念「洛北サイエンス」を基に6年間の教育を体系化する

2007年4月、京都府立洛北高校附属中学校の1期生は、全員、洛北高校に進学した。6年間を「基礎期」「充実期」「発展期」と分け、「サイエンス」をキーワードに教育活動を展開する同校に、この3年間を総括してもらった。

6年を3ステージに分け真理を見抜く力をつける

  洛北高校が附属中学校を併設し、コンセプトを「サイエンス」として、中高一貫教育を始めたのは2004年度のことだ。高校の京崎秀樹副校長はその狙いをこう話す。
 「『サイエンス』は本来、物事の真理や真実を見抜く力を意味しています。自然科学の素養は、人文科学や社会科学でも大切な力です。本校は理数系に偏った教育をするということではなく、6年間で全人教育を行い、洞察力や論理的思考力、創造力を養うことを目的としています」
 同校は、6年間を2年ごとの3つのステージに分けて教育を展開する(図1)。中1・中2の「基礎期」では、学習の楽しさを発見させ、基礎知識を身につけさせる。中3・高1の「充実期」では、中高融合を図り、オールラウンドな力を養う。「発展期」の高2・高3では、関心に応じた科目選択で発展的な力を培う。中学校の沖田悟傳副校長は、中高一貫のメリットを次のように語る。
 「充実期で、中3から高1への移行がスムーズに行えることです。本校では先取り学習や中高教師相互の乗り入れ授業で、2年間かけて中高のギャップを小さくしていきます。中3では、高校の教師が担当する授業の方が多いくらいです」
 同校は、週3回の7時限授業、土曜日や長期休業での補習授業などで、授業時数を確保。基礎期で中学校の学習内容をほぼ終え、中3では高1の内容を取り入れながら無理なく高校の授業に移行するようにしている。
 しかし、初めての中高接続で、中学校や高校の教師に戸惑いはなかったのか。
 「中学校では、学習面でも生活面でも、教師から生徒へ提供するものが多く、教材やプリントなどを入念に準備します。しかし、高校では重要なことを集約して教え、興味・関心を喚起して自ら学ぶ意欲を育み、あとは生徒が自主的に学びます。この違いは大きいと感じます」(中学校教務主任・西村勝利先生)
 そこで、中高一貫プロジェクトでは、さまざまな対策が取られた。高校の宮島勇二先生は、「中3と高1の教科担任や学年団が互いにコミュニケーションを取りやすいよう、教務や進路といった分掌がどう支援できるかを考えました」と話す。
 その結果、職員室は中高合同とし、体育祭などの行事も一緒に行うことになった。教科会議では、中高の教科担当者が意見を交わす。乗り入れ授業を行う中高の担当教師も一対一で打ち合わせをするなど、中高の教師同士のコミュニケーションを密にするための機会を多く確保している。今では、中学校の定期考査を高校教師が作問することもあるという。

図1

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