特集 公立中高一貫校から学ぶ中高連携

岡山県立岡山操山中・高校

◎県内有数の進学校で、創立100年以上の伝統がある岡山操山高校は、2002年度に県立の中学校を併設し、中高一貫教育を始めた。05年度入学生から単位制に移行。高い学力と豊かな人間性を持った志の高い生徒の育成を目指す。

設立●高校:1900(明治33)年、中学校:2002(平成14)年

形態●全日制/普通科/共学

生徒数(1学年)●高校:280名(内進生3クラス、外進生4クラス)

06年度進路実績●高校:国公立大には、京都大4名、大阪大4名、神戸大4名、岡山大64名など236名が合格。私立大には、同志社大29名、立命館大22名、関西大22名、関西学院大16名など、延べ368名が合格

住所●岡山県岡山市浜412

TEL●086-272-1241

WEB PAGE●http://www.
sozan.okayama-c.ed.jp/

※同校の取り組みはVIEW21高校版2002年6月号でも紹介しています


國友道一

▲岡山県立岡山操山中・高校校長

國友道一

Kunitomo Michikazu

教職歴34年目。同校に赴任して1年目。「教師はいつまでも新鮮で謙虚でなければならないと思っています」

杉本尚平

▲岡山県立岡山操山中学校副校長

杉本尚平

Sugimoto Shouhei

教職歴26年目。同校に赴任して1年目。「高い志を持って頑張れる生徒を育てることがモットーです」

仲田輝康

▲岡山県立岡山操山高校教頭

仲田輝康

Nakata Teruyasu

教職歴28年目。同校に赴任して2年目。「社会への責任や使命を自ら考えられる生徒を育てたい」

石田隆

▲岡山県立岡山操山中学校

石田隆

Ishida Takashi

教職歴25年目。同校に赴任して5年目。総務担当。「最大限の力を発揮できる生徒を育てたい」

三浦隆志

▲岡山県立岡山操山高校

三浦隆志

Miura Takashi

教職歴22年目。同校に赴任して6年目。進路指導課長。「教師も学んでいるという姿勢を生徒に示しています」


*本文中のプロフィールはすべて取材時(07年3月)のものです

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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【学校事例・1】 中高をつなぐ進路学習

岡山県立岡山操山中・高校 ◎ 併設型(02年度に中学校を併設)

6年一貫の「未来航路プロジェクト」で進路の視野を広げる

併設型の中高一貫校として6年目を迎えた岡山県立岡山操山中・高校。当初描いたプランをどのように実践し、どのような成果が出ているのか。6年間を見通した進路学習にスポットを当てて紹介する。

選択教科・科目を重視し主体的に学ぶ力を育成

 2002年度、岡山操山高校は敷地内に岡山操山中学校を併設し、併設型の中高一貫教育を始めた。進学実績の高い高校の中高一貫校化は他県でも例が少なく、大きな注目を集めた(VIEW21高校版02年度6月号参照)。その1期生は07年度に高3生となる。
 同校の教育の軸は「全人教育」だ。
 「人間力というしっかりとした土台を築くことが何より重要です。それが本校の伝統であり、その土台がないと、学力も身につかないと考えています」(國友道一校長)
 同校では、主体的に進路を切り開く力の育成を重視し、それが取り組みの随所に表れている。中1から選択教科があり、高3では3分の2以上を生徒が自ら選ぶ(図1)。生徒がより自分に合った学びに打ち込めるよう導くためだ。学習内容も「深め、広げる」ことが重視され、大学入試にとらわれない。独自教科の「コミュニケーション」では、スピーチやディベートなどを通し、自分の考えをしっかりと伝える力を養う。

図1

6年一貫の進路学習で自分の将来を描く

 最大の特色は、中高6年間を見通した進路学習の「未来航路プロジェクト」だ。体験学習や講話・講演、課題追究学習、問題解決学習などの活動を通じて、自分が将来何を目指すのかをしっかり描き、そのために何を学ぶべきかをつかんでいく。
 高校での進路指導というと、大学進学のための指導に重きが置かれがちだ。「将来を見据えた進路指導」が理想であるとわかっていても、高1、高2の2年間でそこまで意識を高めさせることは難しい面もある。そこで、同校では、中学校3年間と連携した進路学習を通じて、進路意識を十分に醸成させ、高3での進路指導までつなげようとしている。
 中1では、「操山を知る」「岡山を知る」とし、身近な地域を題材に、歴史、環境などの分野から、自分が興味のあるものは何かを知る第一歩を踏み出す。中2以降は「日本を知る」とし、京都研修(中2)、東京修学旅行(中3)で、官公庁、大学、研究所など自分の興味に合った施設を訪問したり、伝統芸能に触れたりして、興味・関心を更に広げていく。
 高校では、「世界を知る」として、青年海外協力隊員の講演会(高1)や、韓国への修学旅行に向けた学習(高2)を通じて、興味・関心のあることと世界とのつながりを意識させ、他校の高校生とも交流する計画だ。
 これらの行事は、単発のイベントでは終わらせない。事前事後学習はもちろん、成果を披露するさまざまな発表会を開いている。自分の関心を、身近なところから日本、世界へと段階を踏みながら広げていくことで、自分が将来なりたい姿をはっきり描けるよう導いている。
 それは、同校のカリキュラムが学年が上がるにつれて選択科目が増えることとも関係する。自分の関心や適性、将来の夢に合った科目を選ぶためにも、中学時代から将来の自分の姿を描き、それに向かって進む力を育成することを大切にしている。


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