▲佐賀県立致遠館中学校 教頭
副島一春
Soejima Kazuharu
教職歴30年目。同校に赴任して18年目。致遠館中学校の設立時に致遠館高校から教頭として赴任。中学校と高校をつなぐ役割を務める。 *致遠館中学校・高校の事例は11ページ参照
▲岡山県立岡山操山高校 進路指導課長
三浦隆志
Miura Takashi
教職歴22年目。同校に赴任して6年目。担当教科は日本史。岡山操山高校と岡山操山中学校の中高一貫教育で、進路面を中心に尽力。 *岡山操山中・高校の事例は7ページ参照
▲岐阜県立羽島北高校 1学年主任
浦崎 太郎
Urasaki Taro
教職歴18年目。同校に赴任して2年目。担当教科は物理。2004年度から1年間、岐阜県武儀郡洞戸村立洞戸中学校(現・関市立洞戸中学校)に勤務。その経験から異校種間の連携を学内外で研究。
本座談会では、公立中高一貫校の成果と課題を踏まえ、一般校での中高連携に生かせる方策について考えてみたい。 中学校と高校、それぞれの現状に精通した3名の先生方に、中高連携を進める上で考慮すべき視点と、今後の可能性について語ってもらった。
――まず、高校と中学校の違いや課題点などを、各校ではどのように捉えていらっしゃいますか。
浦崎 私は、中学校と高校との人事交流の一貫として、2004年度に岐阜県内の洞戸中学校で指導にあたる機会がありました(VIEW21高校版04年度12月号参照)。その経験から気づいたことは、中学校の良さとして、中学校の先生は常に生徒の心に焦点を当てて指導している、という点です。生徒の意識の流れに細心の注意を払って学習活動を進めることで、生徒のハートをつかもうとしています。 高校では授業以外の場面で、進路指導部や生徒指導部が生徒の意欲を喚起する役割を果たすことが多いと思いますが、中学校では授業そのもので、学習意欲を喚起する工夫がされています。高校の教師が中学校から学べる考え方、ノウハウはたくさんあると実感しました。
副島 私も致遠館中学校の教頭を4年間経験し、中学校の先生が教科指導から生活指導まで、トータルに生徒を捉えようとする姿勢を強く感じました。学活ノートには毎日必ず目を通しますし、常に生徒の心の動きに気を配っています。生徒との密着度から言えば、高校よりも中学校の先生の方がはるかに濃いと感じています。
三浦 岡山操山高校が中高一貫校になるまでは、中学校の指導や雰囲気を具体的にはほとんど知りませんでした。本校が中学校を併設し、中学校の先生と日常的に接するようになってからは、先生が生徒の心の近いところに寄り添って指導していることを実感しています。そこは、高校の教師も見習わなくてはならない部分でしょう。 ただ、高校3年間は生徒が大人に成長していく時期であり、中学校から上がってきた生徒を「どのように大人にしていくのか」ということも考えていかなければなりません。どの程度、生徒に手をかければよいのか。これは、中高の接続を考える上で欠かせない視点です。