――教師文化の面で、中学校と高校に違いはありませんか。
三浦 中学校には、高校のように生徒の意識調査や外部模試などのデータを軸として、指導の方向性や手法などを議論をする場面が少ないのは確かです。本校では、高校の実情を理解してもらうために、高1のスタディーサポートの結果を示しながら、中学校の先生に内進生、外進生ごとの傾向や、教科の強み、弱みなどを伝えています。06年度には、高3生の進路検討会と実力考査の反省会にも参加してもらい、大学入試に向けて高校がどのような問題をつくって、どのように生徒をフォローしているのかということも見てもらいました。
こうした交流を通じて、中学校でも高校との接続についての意識を高めてもらいたいと考えています。
浦崎 確かに、中学校ではデータに立脚した指導改善という手法をあまり取りません。高校の指導改善は、データを根拠に議論するので、教師は皆、納得して受け入れやすい。しかし、中学校では心に焦点を当てる指導を心がけているため、主観的、情緒的になりがちです。高校側が率先してデータを示し、中学校の指導改善にも役立ててもらうのは良い方法です。
副島 致遠館では、職員会議や朝礼はすべて、中学校と高校の合同で行っています。校務分掌も、生徒指導以外はすべて統一されています。
また、中学校では各学期に2回、生徒指導協議会でさまざまな問題を話し合いますが、06年度のこの協議会には、高1の学年主任と高校の進路主任も参加しました。高校に進学した生徒が現在どういう状況なのかを、データを用いながら中学校の先生に知ってもらい、中学校での指導に生かしてもらいたいと考えたからです。
中高がそれぞれの情報を伝え合うことからでも、指導の足並みをそろえていくことができると思います。
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