特集 公立中高一貫校から学ぶ中高連携
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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中学校の評価方法を高校は研究する余地あり

――教科指導面でも、手法や評価など、中学校と高校では異なる面があるようですね。

 

副島 本校では06年度は12回、中高が交替で研究授業を行いましたが、授業の組み立て方に大きな違いを感じます。中学校の先生は丁寧に指導しますが、その反面、高校から見ると物足りなさを感じることがあります。国語を例に挙げると、中学校では生徒の活動や発言を重視しながら授業を進めるため、文章を深く読み込むところまではいきません。06年度に中高一貫校の1期生が高1になりましたが、中高の授業の手法の違いに、生徒は戸惑っているようです。中高の接続を考える際、こうした手法の違いも考慮する必要があるでしょう。

 

三浦 中学校では、生徒の評価を学習指導要領にある観点別評価(注1)に基づいて厳密に行っています。それらは、高校では経験知として弱い視点です。しかし、その観点別で評価された生徒が高校に入学するわけですから、中学校の評価方法についても、高校はもっと研究すべきでしょう。中高6年間の学びの全体像を構築し、評価と連動したシラバスを示すことも、中高の接続を考える上で必要です。

 

浦崎 ただ、中高接続をスムーズに行うことが大切といっても、適度な段差は生徒にとって必要といえるのではないでしょうか。一つできたら次の段差、また一つできたら次の段差ということを繰り返すうちに、だんだんと慣れていく。階段状に段差を入れていくことが、成長には欠かせない要素だからです。

 

副島 段差を越える喜びは、高校生よりも中学生の方がより大きく感じていると思います。中学生はちょっと段差を越えるだけで、自信ややる気を高めます。教師がそこをうまく捉えて指導に生かせば、生徒は自分から次の段差に行きたいと思うようになります。そうした体験や意識づけを早い時期に仕掛ければ、先につながっていくと思います。

 

浦崎 今は、中学校と高校の間に生徒が越えられないほどの段差があって、そのためにドロップアウトしていく生徒が多いのでしょう。ジャンプすれば届くような範囲まで段差を縮めてあげることに、中高連携を行う意味があると思います。

 

注1:「関心・意欲・態度」「思考・判断」「技能・表現」「知識・理解」のこと


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