特集 公立中高一貫校から学ぶ中高連携
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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校務分掌を一体化し合同で生徒指導にあたる

 同校の教師は、東京都が行う年間20回の研修を受け、論文と面接をクリアした上で配置された。担任団は6年間持ち上がりの予定だ。前任校が中学校、高校と校種の違う教師は、どう連携を図っているのか。
 「中学出身の教師は、生徒へのきめ細かいケアが得意です。一方、高校出身の教師は大学受験を意識した指導に長けています。両者の良い面を吸収できるようにと、07年度にはすべての校務分掌を高校と中等教育学校で一体化し、合同で生徒指導にあたる体制を整えました」(遠藤校長)
 職員室は、教科別に分かれてはいるが、高校と中等教育学校とで同室となっている。職員会議や企画調整会議も合同で行う。文化祭や体育祭、生徒会、部活動も高校と中等教育学校が基本的に一体となって活動する。
 「リーダーシップやフォローシップの学びの場としては、部活動や行事が最適です。生徒には、他人のことにも思いを馳せられるリーダーになってほしいと考えています。部活動では、高校生は中等生を教えることで年長者としての意識が高まり、教わる中等生は『早く上手になりたい』と意欲が芽生え、共に精神的に成長できると思います」(遠藤校長)
 1期生のうち、私立中学校を併願していた生徒は4割弱だ。私立中学受験のための塾通いを経験せず、のびのびと小学生時代を送った生徒が過半数を占めている。遠藤校長は「生徒の個性をできる限り伸ばすため、大学受験だけを目的にした教育はしません。どこの大学に何人合格させるといった目標は、本校では掲げません」と、きっぱり言いきる。
 「大学や大学院に入ってからも伸びる人材を育てたいのです。15年、20年先に一人ひとりが夢を実現できるような教育に取り組んでいきます」


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