指導変革の軌跡 京都府立東宇治高校「学校改革」
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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3年間を前期・後期に分け2年生の中だるみを解消

 02年度には、進路指導体制も変えた。2年生の中だるみをなくし、受験に向けて早めのスタートを切るために、3年間を「進路前期」「進路後期」として位置づけたのだ(図2)。2年次2学期を進路後期の始まりとして、一気にガイダンスや進路学習などの進路行事を行い、生徒の意識を受験モードに切り替える。
 「9月初旬に文化祭と体育祭に打ち込んだあと、すぐ補習や進路説明会に次々と取り組ませることで、生徒の意識は受験に向けて一気に切り替わります。従来よりも1学期分早くスタートが切れることは、生徒にとって大きな効果があります」(吉川先生)
 こうして醸成した受験意識を、3年次末まで持続させる工夫も凝らす。同校では「実践値教育」に基づいて、4年制大志望者全員にセンター試験を受けさせ、学習合宿に参加させる。模試やセンター試験は、国公立大志望者は志望校にかかわらず、5教科7科目受験が必須だ。

図2

 「センター試験を目指して勉強することで、学校内に緊張感を持続させ、3年次末まで勉強し続ける雰囲気を生み出しています」と木村校長は話す。同校ではセンター試験受験者数が年々増え、07年度入試では8割近い生徒が受験した。
 一連の改革の成果は、進学実績の著しい向上として表れている。木村校長が赴任した直後の02年度入試で15名だった現役の国公立大・短大合格者数は、アカデミックサタデーを導入した翌年の03年度入試に29名に倍増、05年度入試には49名に達した。06年度入試では生徒数が1クラス分少ないにもかかわらず、国公立大・短大合格者数は46名と、実質的には増えている(図3)。
 06年度には京都府の学力向上フロンティア校に応募し、指定された11校の中で最も高い評価を得た。
 「公立高校の弱点は、教師の異動が多いため年度によって成果が異なる場合があることです。教師が変わっても揺るがない理念とシステムを浸透させることができたと思います」と木村校長は述べる。
 05年度には統廃合の話もなくなり、単独校として存続することが決まった。危機を乗り越えた同校の存在感は、一層増してくるに違いない。

図3

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