指導変革の軌跡 京都府立東宇治高校「学校改革」
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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生徒の評価を授業改善に生かす

 同校は、授業の質の向上にも取り組んでいる。その一つは、授業公開だ。保護者向けには春と秋の年2回、2時限分を公開しており、保護者は自分の子どもの授業でなくても見学できる。中学生とその保護者向けには年4回の学校公開を中心に、すべての授業を公開している。また、教師が授業を互いに見せ合う研究授業は、学期に1回、2週間に渡って実施する。
 04年度には、生徒による授業アンケートを導入した。生徒が学期に1度、すべての授業について、「興味・関心が持てる授業になっているか」「学力レベルに適した内容だったか」「言葉は明瞭で聞きやすいか」など計12項目で判断する。結果は教師1人分ずつをプリントにまとめて配付する。教師は評価を受けて、生徒にフィードバックする義務がある。
 「学校側の一方的な調査では、生徒の信頼は得られません。どのような評価を得たのか、それに対してどのように改善していくのかを、授業の際に各教師から一言でもいいので生徒に明言してもらっています。教師にとっては厳しい面もありますが、授業を自己満足に終わらせないためにも必要だと考えます」(木村校長)
 「スパイラルテスト」も注目すべき取り組みだ。同校では、06年度から中間・期末考査を廃止し、それに代わるテストとして「スパイラルテスト1~6」を行っている。
 「1度、定期考査に出した単元の問題を、その後の定期考査で出題することは通常ありません。そのため、理科や数学のように単元ごとに内容ががらりと変わる教科では、定期考査が終わると、覚えた内容を忘れやすいのです。そこで、1度終わった単元の定着度を確認し、教科内容のつながりを意識させるため、前回までの学習内容を含めて範囲とするのがスパイラルテストです」(笠谷先生)
 出題の中心は直近に学んだ単元となるが、その単元とのつながりを考えながら、過去の単元から出題している。始めて1年経った今はまだ試行錯誤の段階で、笠谷先生は「教科の特性やその他の制約を考慮しながら、段々と積み上げていきたい」と意気込む。


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