指導変革の軌跡 京都府立東宇治高校「学校改革」
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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生徒が志を一つにして「進路社」で延長自習

 学習時間の確保、学習習慣の定着に効果を上げているユニークな取り組みが「進路社」だ。学校で自習をしたい生徒のために平日は20時まで校舎を開放。部活動に準ずる活動として位置づけ、登録した生徒に対して「延長自習」を許可するというものだ。進路指導部長の吉川孝先生は、「『進路社』には『志を持つ者の集まり、自分に責任を持つ』という意味合いが含まれます」と話す。
 生徒は、「出勤簿」に出社・退社の時間を記入する。02年度当初は40名だった登録者は進学実績の向上と共に増え続け、06年度には140名となった。
 「登録者は主に3年生で、部活動の引退後に学校で自習をしたいという生徒です。先輩のそんな姿を見て、次は自分たちの番だという意識が高まっていることが、登録者の増加につながっていると思います。04年度からは2年生も参加するようになりました。勉強は大切だということが、各学年に浸透していることを感じます」(吉川先生)
 監督する教師がいるわけでもないのに、自習室はしんと静まり返っている。また、出勤簿をチェックすれば累計の学習時間がわかるため、「出勤」した生徒にとって大きな自信と励みになっているという。

column 異文化理解への取り組み


 東宇治高校は、生徒の進路意識と幅広い視野を醸成するために、タイとオーストラリアの高校との交流を行っている。2年生の修学旅行で、Ⅰ類・Ⅱ類文理系はタイ、Ⅱ類英語系はオーストラリアの協定校を訪問する。旅行中は、協定校の生徒と一緒に授業を受け、自国の文化を紹介する。
 事前指導では、京都教育大やJICA(国際協力機構)で異文化理解の講座を受け、帰国後はまとめとして小論文を書く。一連の体験を通して、進路を見つけるきっかけにしてもらいたいと考えている。「生徒は外国の子どもたちが自国の文化や宗教を大切にしていることに衝撃を受けます。生徒にとって、自分の人生を見つめ直す上で大きな刺激になると思います」と木村校長は述べる。


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