中学校の現場から 小中連携


茨城県 龍ケ崎市立長山中学校

茨城県南部のベッドタウンとして開発された地域に1982年に開校。指導方法の研究に取り組み、03年度から2年間、文部科学省から学力向上フロンティアスクールに指定されている。

生徒数 ● 339名
学級数 ● 10学級

WEB PAGE●http://www.ed.
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VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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中学校の現場から

生徒の履歴をつかみ、今の指導につなげる

小中連携

茨城県 龍ケ崎市立長山中学校

学力調査の結果を小学校と共有し、数学・理科で連携を推進

  高校が「高1ギャップ」を抱えているのと同じように、中学校も「中1ギャップ」という課題に取り組んでいる。小学校高学年から中学生にかけては、身体的・精神的に大きな変化を迎える時期だが、その発達段階に現行の「6・3」制が合っていないのではないかという指摘もある(『VIEW21』中学版2007年4月号参照)。先進的な取り組みとしては、公立の小中一貫教育を始めている東京都品川区や広島県呉市の例などがある。
 そこで今号では、小学校と中学校がどのような課題意識を持って、具体的にどんな活動をしているのか、先進的な取り組みをする中学校の一つである茨城県龍ケ崎市立長山中学校の取り組みを紹介する。

小中共通の課題を学力調査で探る

 長山中学校が小中連携を始めたきっかけは、03年度から2年間、文部科学省の学力向上フロンティア事業の指定を受けたことだ。校区の2つの小学校と共に、校長・教頭・教務主任からなる「3校連携推進会議」を月1回開催し、9年間を見据えた学習指導の在り方を話し合った。取り組みの中心は数学と理科となったが、その理由を研究主任の若林克治先生はこう説明する。
 「小学校では通常、すべての教科を1人の教師が担当します。しかし、小学校の教師は理系出身の割合が低く、以前から『算数と理科の指導を中学校に支援してほしい』という声が寄せられていました。また、本校では以前から中1生が入学した直後の学力調査の結果を、中学校区の小学校と共有していました。その調査結果を、小学校と中学校の双方が単元レベルまで遡って分析したところ、数学と理科で小中の指導のギャップが大きいことがわかってきたのです」


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