中学校の現場から 小中連携
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
  PAGE 2/3 前ページ  次ページ

小中共通の算数・数学の問題集を作成する

 以上のような課題を踏まえ、同校はそれぞれ次のような取り組みを始めた。

1.小中共通の問題集を作成(算数・数学)
 算数・数学では、小1から中3までの各段階で何を身につけるべきかを、小学校と中学校の教師が一緒に検討した。そうして洗い出した項目に基づいて、小中の9年間で着実に力を積み上げられるよう構成した、小中共通の問題集を作成した(図1)。「四則計算が弱い」「2つの小学校間で指導の温度差がある」といった小中共通の課題を踏まえて、問題を選んでいった。
 「この問題集を、復習、宿題、振り返り学習などで活用することで、小学校でのつまずきを中学校でフォローできるようになりました。例えば、一次関数が苦手な生徒の中には、実は小学校の分数の計算の段階でつまずいているようなケースも見られます。こうした場合には、小学校に遡って学習することが有効ですが、それを容易にできるようになりました」(教務主任・塚本博美先生)

図1

2.指導の目線合わせと出前授業(理科)
 理科では、小学校と中学校双方のカリキュラムを分析した結果、似たような内容を小中がバラバラの方法で教えている単元があることがわかった。
 「例えば、気体の単元では、『気体の性質を調べる』というテーマは同じなのに、小中で実験法や使用する器具が違っていました。まずは、そうしたギャップを解消することに取り組みました」(若林先生)
 また、小学校教師の実験に対する苦手意識をなくそうと、若林先生を中心に、夏休みに実験の実技指導を行った。
 更に、中学校の教師が、小6生を対象に出前授業を実施した。中1の最初で学ぶ内容を扱い、入学直後のつまずきを防ぐと共に、中学校の授業の楽しさを伝えようと試みた。中学校の教師に親しみを感じてもらうことで、「中学校の授業は楽しそうだ」という期待感を醸成し、中学校入学への不安を取り除くことも狙いとしている。


  PAGE 2/3 前ページ 次ページ