周囲を豊かな山々に囲まれた池田町の中心部に、池田高校がある。こうした環境の中、同校には素直で純朴な生徒が多く、大学入試に向けたスタートが都市部の生徒に比べてやや遅れがちだ。教務主任の前田茂先生によると、こうした傾向は学校全体の課題という。ただ同校の場合、進学先が県内であっても自宅からは通学しにくいため、進路選択では全国の大学に目を向けやすい。そのため、進路指導の重要性に理解を示す保護者が多いという。「しかし」と、前田先生は次のように言葉をつなぐ。
「本校の近隣では学校数が限られ、比較の対象が少ないため、早くから大学入試を意識させるのが難しい状況です。しかし、AO入試の普及などで大学入試は早期化し、都市部の高校は速いペースで学習を進めています。こうした現状を保護者にも理解してもらうことが、生徒が受験に向けて早めにスタートを切るうえでも大切だと考えています」
一方、自分の子どもと同世代の高校生の考えに興味を持つ保護者が増えているという。池田町のある県西部では少子化が進んでおり、同世代の子どもに関する情報を得るのが難しい状況だ。「多感な年ごろの子どもを育てていく中で、不安を抱える保護者は少なくありません。参考になる情報を、学校や同世代の子どもを持つ保護者に求める傾向が、強くなっているようです」と前田先生は分析する。 |