ガイダンスの最大の目的は、「正社員として働くことの大切さ」を生徒に意識させることだ。「総合職と一般職の違い」など就職に関する基礎知識のほか、大学・短大・専門学校の納付金の比較、高卒のパート労働者・派遣労働者と大卒正社員との生涯賃金の違い、ニートやワーキングプアといった諸問題にも言及する。特にアパレル、ブライダル、メイクなど、生徒に人気の高い職種については、イメージだけが先行しないよう、労働環境や賃金体系の実態をリアルに伝える。
「現実を知って、ショックを受ける生徒もいます。しかし、職種に伴うリスクや就労の現状をきちんと伝えることは、私たちの役目です。実態を知り、それでも本当にその仕事をする意思があるのか、という覚悟を促すためにも、こうした情報を伝えることは欠かせません」(田代先生)
情報は口頭で伝えるだけではなく、プレゼンテーション用ソフトを使って視覚的に訴えている。例えば、大卒と高卒の生涯賃金の格差が、男性では3000万円、女性では7000万円とすると、これを「男性はレクサス3台分」「女性はティファニーのネックレス30個分」などと、実際のものに置き換えて、写真入りで伝える。「言葉だけで伝えても、生徒は実感しづらい。ビジュアルも入れながら、インパクトを与えることが大切」と田代先生は強調する。
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