指導変革の軌跡 宮崎県立宮崎商業高校「進路指導」
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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商業高校ならではの大学データベースを構築

 同校は、独自の大学データベースを構築し、国公立大進学希望者に対して、必要な情報をすぐに提供できる態勢も整えた。
 その一つが「全国国公立大学進学マップ」という、経営・商学系学部を持つ大学のデータベースだ(図2)。日本地図の該当箇所をクリックすると、その地域にある経営・商学系学部を持つ大学の沿革、教育の特徴、推薦入試の傾向などの情報が表示される。画面は、大学のウェブサイトにもリンクしている。

図2

 また、「推薦入試条件検索システム」は、資格や評定などの推薦要件から大学・学部を検索できるシステムだ。「日商簿記2級以上」「評定平均値4・2以上」などの条件を入力すると、推薦要件に該当する大学・学部が表示される。募集人員や入試日程、出願倍率など入試にかかわるデータも同時にわかる。
 このように、進路カルテ→全国国公立大学進学マップ→推薦入試条件検索システムと連動させていくことで、生徒のライフプランに応じた大学を絞り込むことができる。緻密な進路指導によって、それぞれの生徒に合った効果的な進路指導を可能にしているのだ。

進路ガイダンスを充実させ進学・就職のミスマッチを防ぐ

 1・2年生に対する進路ガイダンスの充実も図った。「質の高い進路実現を図るためには、低学年からの意識付けが大切」という学年団の提案により始めた。2学年主任の迫田義次先生は、次のように述べる。
 「生徒や保護者と接する中で気がかりだったのは、進学や就職に関する情報がどれだけ伝わっているかということでした。進学・就職いずれにしても、情報提供が十分でなければ、ミスマッチを起こして短期間で挫折してしまいます。生徒や保護者に現状を正しく認識してもらうためには、進路指導部と協力して的確な情報を提供することが大切だと考えました」
 こうした学年団の動きは、進路指導部にとっても心強いものだった。田代先生は、「学年団と問題意識を共有できたことは、改革を進める大きな力になりました。進路指導部だけで進路行事を進めることは、簡単ではありません。学年団からの提案で、進路ガイダンスなどの新しい取り組みもスムーズに始めることができました」と振り返る。
 06年3月の合格者登校日には、新入生となる中3生と保護者を対象にした「入学者オリエンテーション」の中で進路ガイダンスを実施。更に、これまでは指導方針や進路状況などを伝える場だった2年生後半の学年PTAは、進路ガイダンスに内容を改めた。


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