06年度、同校は進路指導のテーマとして「正社員として定職に就く」を掲げた。「進学しても、いずれは働くことになります。正社員として定職に就くことの大切さを認識させ、より良い進路選択につなげてもらうことが目的です」と、原田校長はテーマに込められた思いを話す。
そのために必要なのは、生徒の意識を専門学校に安易に流さないようにし、大学へと向けることだ。しかし、大切なのは、単に大学進学実績を上げることではない。犬塚治憲先生は、商業高校生にとっての大学進学を次のように位置づける。
「商業高校で学ぶ専門的な内容は、大きくは簿記と情報の二つです。それらのスキルを更に磨き、発展させていく場として、大学こそ適切と考えています。特定の分野を深く学んだ生徒だからこそ、大学に進学していろいろな人と出会ってコミュニケーションし、幅広い人間観や社会観に触れてほしいのです」
同校は、06年度に3年生全員の進路情報を記載した「進路カルテ」(図1)を校内のイントラネット内に構築し、進路指導部と3年学年団で共有できるシステムを整備した。生徒一人ひとりの学力、資格取得の状況、希望進路、部活動の実績など、大学の推薦要件などの情報を共有することで、どの教師が相談を受けても、指導がぶれないようにするためだ。 |