指導変革の軌跡 宮崎県立宮崎商業高校「進路指導」
宮崎県立 宮崎商業高校

宮崎県立 宮崎商業高校

「克己求道」を校訓に、目標を求めて学問を修め、人格を磨いていく生徒の育成を目指す。県を代表する商業高校であり、進学は5~6割、就職は4~5割。部活動では、テニス、ソフトテニス、卓球、ボート、カヌーは全国トップレベルの実績を誇る。

設立●1919(大正8)年

形態●全日制/商業科、経営情報科、会計科、国際経済科、経営科学科/共学

生徒数(1学年)●約280名

07年度進路実績●国公立大には横浜国立大、佐賀大、大分大、長崎大、北九州市立大、長崎県立大など32名が合格。私立大には駒澤大、東洋大、明治大、福岡大、宮崎国際大、西南学院大など29名が合格

住所●宮崎県宮崎市和知川原3-24

TEL●0985-22-8218

WEB PAGE●http://www.
miyazaki-c.ed.jp/miyazaki-ch/


原田誠一郎

▲宮崎県立宮崎商業高校校長

原田誠一郎

Harada Seiichiro

教職歴38年目。同校に赴任して3年目。「他人を責めず、自分を責めず、問題を攻めるように心がけている

犬塚治憲

▲宮崎県立宮崎商業高校

犬塚治憲

Inuzuka Harunori

教職歴33年目。同校に赴任して2年目。「進路指導は生徒の大切な人生設計の場。生徒と共に希望を語り合いたい」

迫田義次

▲宮崎県立宮崎商業高校

迫田義次

Sakoda Yoshitsugu

教職歴29年目。同校に赴任して9年目。2学年主任。「社会人として必要なことをしっかりと身につけさせたい」

田代晃一

▲宮崎県立宮崎商業高校

田代晃一

Tashiro Koichi

教職歴22年目。同校に赴任して8年目。進路指導部長。「自分の持つ力のすべてを生徒に注いでいきたい」

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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指導変革の軌跡86


宮崎県立 宮崎商業高校「進路指導」

商業高校発の、大学進学も見据えたキャリア教育に挑戦

● 実践のポイント
生徒一人ひとりの「進路カルテ」と、大学情報のデータベースを構築
1,2年生の進路ガイダンスを充実させ、早期に将来への意識付けを図る
3年生の講演会、卒業生へのアンケートで、生徒の意欲を喚起

上級学校への安易な進学や将来のフリーター化を防ぐ

 宮崎県立宮崎商業高校は、県の商業教育の中心校として、進学・就職で実績を上げてきた。ここ10年間は、4年制大への進学者数もコンスタントに2桁台をキープ。資格取得では、05年度に全国商業高等学校協会主催検定試験の3種目以上1級取得者数で日本一に輝くなど、顕著な実績を上げている。07年度には、公認会計士への道を拓く資格取得に特化した経営科学科を新設し、進学実績の更なる向上も視野に入れている。
 高い実績を誇る同校だが、専門高校を取り巻く環境は厳しい。原田誠一郎校長は、「専門高校は大きな転換期を迎えている」と指摘する。
 「生徒の多くが就職を希望する職業系高校において、近年の雇用格差は切実な問題です。実際、高卒で就職した者が早期に離職した場合、その多くは再び定職に就くことができないままフリーターになる、という現実があります。一方で、会計専門職大学院構想のような大学改革や大学全入時代の到来など、進学を取り巻く状況も大きく変わってきています。今こそ、職業系高校が社会で果たすべき役割、育成すべき人材像を改めて考え、新しい商業高校像を提示していくときだと感じています」
 こうした変化に加え、近年は生徒の進路意識に変化が見られるという。景気回復に伴い、同校に寄せられる求人数は若干増加傾向にある。しかし、生徒の半数にあたる150名強の就職希望者に対して、県内の求人は06年度実績で158名だ。大学・短大卒の求職者との競争も年々厳しくなっており、希望通りの職に就ける可能性は高くないというのが実情だ。進路指導部長の田代晃一先生は、「就職は厳しい。しかし、大学・短大に進学する自信もない。そうした生徒がとりあえず専門学校に進むという流れが、ここ数年ででき上がっていました」と指摘する。
 いかに目的意識を持たせ、進路の質を高めていくか。どのように新しい商業高校像を示していくか。それが、同校が抱える課題だった。

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