中学校の現場から 生活指導


滋賀県 近江八幡市立八幡中学校

1947(昭和22)年開校。04年度から3年間、文部科学省のキャリア教育推進地域指定事業の対象校となり、地域での体験活動などを充実させている。

生徒数 ● 578名
学級数 ● 18学級

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VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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中学校の現場から

生徒の履歴をつかみ、今の指導につなげる

生活指導

滋賀県 近江八幡市立八幡中学校

生徒主体の活動により自律性を引き出し学校の「荒れ」をなくす

 学力も家庭環境もさまざまな生徒が集まる公立の中学校では、生活指導にかなりのウエイトをかけることがある。学校が落ち着いていなければ、生徒も教師も授業にしっかり取り組めないからだ。
 滋賀県近江八幡市立八幡中学校も、かつてはそうした学校の一つだった。窓ガラスは割られ、壁は落書きだらけ。校内暴力の様子が新聞に取り上げられることもあったという。しかし、生徒の自律性を引き出すための工夫を随所に取り入れていくことで、次第に落ち着きを取り戻していった。教師が語りかける言葉以上に、生徒が言う言葉に耳を傾けるという生徒の気質を踏まえた、さまざまな活動を見ていく。

生徒主体の生活向上キャンペーンで自律性を育む

 八幡中学校では、1980年代~90年代前半にかけて、授業中に歩き回る生徒や、他校の生徒とトラブルになる生徒が少なくなかったという。教務主任の竹端康郎先生は、当時をこう振り返る。
 「夜遅くまで校外指導をし、状況が落ち着いたかと思えば、また再燃する。その繰り返しでした。生徒は抑え込むだけでは反発します。そこで、生徒の自律性を育てて内面から変える必要があると、本校の指導の原点に戻ることにしたのです」
 それまでは、一部の生徒だけの問題として集中的に指導していたが、生徒全員の人間関係を捉え直すことから始めたのだ。
 まず着手したのは、学年集会の充実だった。同校の校舎の各階には、学年ごとに集まれるスペースがあり、不定期に学年別の生徒集会が開かれていた。しかし、その内容は主に教師の「説教」。それを、学級指導担当者の発案により、毎週月曜日の朝に定期的に行い、名称も「学年朝の会」に改めた。司会は、各学年の生徒会執行部員と、各学級の学級委員が担当。内容は、生徒から生徒への呼びかけを中心とした。「最近、掃除が不十分だという声が上がっている」「みんなで授業態度をもっと良くしよう」など、生徒自身の手によって学年の雰囲気を改善させようというわけだ。竹端先生は生徒の様子を次のように話す。
 「話す内容が同じでも、教師ではなく、生徒が言う方が耳を傾けます。普段は落ち着きのない生徒も、生徒同士で決めたことには従おうとする。そこに、活路を見いだしました。生徒会執行部員や学級委員には、クラスで人望のある生徒や、だれとでも話ができる生徒になってもらうなど、工夫もしています」
 こうした中で盛り上がってきたのが、各種の「生活向上キャンペーン」だ(写真1)。これは、生活上のマナーや安全に対する意識を高めるために学級委員が企画・運営する活動で、月1回のペースで毎回1~2週間ほど行う。短期集中型で回数を増やし、多くのことに関心を持たせようという狙いもある。

【写真1】

写真1

 

*「下校キャンペーン」「校歌キャンペーン」などが、生徒の発案で行われた。「クラピカキャンペーン」では、普段担当していない場所の掃除をすることで、奉仕の意識を高め、学年の横のつながりを強めることを狙った。毎日の掃除にも熱心に取り組む生徒が見られるようになったという。


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