中学校の現場から 生活指導
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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生徒の良い面を生徒会新聞で全校に発信

 このような生徒の自主的な活動が活発になっていった背景には、学校が荒れた時期でも生徒会の求心力が失われていなかったことが大きいようだ。中でも、日刊の生徒会新聞「輝け八中 みんなの学校」(写真2)は、生徒同士のつながりを陰で支える重要な役割を担ってきた。新聞の創刊は85年。校内が最も荒れていた時期だった。当時、同校に教師として赴任していた奥井和義校長は、創刊の経緯をこう振り返る。
 「荒れた校内を変えようと、ある教師が創刊を提案しました。それが生徒会執行部に引き継がれて、現在に至っています。当時は、新聞に関心の低い生徒が多く、廊下などに捨てられていたこともありました。それでも、創刊以来、登校日には休むことなく発行し、07年2月6日にはついに5000号を迎えました。今では『八幡中の文化』と呼べるものになっています」

【写真2】

写真2

 

*「輝け八中 みんなの学校」の紙面。今では「自 分も書きたい」と申し出る生徒が多く、生徒会執行部の人 気は高い。現在は23人の部員が日替わりで制作する。

 記事は主に学校での出来事で、書く内容は生徒に任されている。発行前には教師が目を通すが、個人攻撃やトラブルを招くおそれのある記事でない限り、手直しはめったにしない。大切にするのは、「Aさんが学校に花を持ってきた」「Bさんが部の大会で活躍した」など、クラスメイトの「小さなことではあるが、良いこと」を全校に発信している点だ。
 「新聞に名前が載ると、『だれかが自分のことを見てくれている』という意識が芽生え、自己肯定感が育まれます。それが『また良いことをしたい』という気持ちを生みますし、生徒が疎外されるのを防ぐことにもなっているようです」(竹端先生)
 こうした活動は生徒主体で進められているが、教師との頻繁な打ち合わせは欠かせない。そこで、同校は、各学年のフロアに空き教室を1室確保し、教師は授業以外の時間はそこで仕事を進めている。各学年ともすべての学級を見渡せる教室を充てているため、生徒の様子を把握しやすいというメリットがある。
 「これは、学校が最も荒れていた時期に、問題を起こした生徒にすぐ対応できるように用意した部屋でした。今では生徒会執行部や学年生徒会との打ち合わせに使っています。この部屋があることで、生徒との距離が縮まっていると思います」(竹端先生)
 今では窓ガラスの破損や壁の落書きもなくなり、落ち着きを取り戻した八幡中学校。それでも「不安が全く消えたわけではない」と、竹端先生は強調する。
 「以前に比べると問題は大幅に減りました。ただ、生徒が荒れる原因を根絶するのは大変難しいと思います。これからも生徒の自律性を育てながら、細心の注意を払って見守っていきます」


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