教科指導最前線・英語
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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生徒主体の授業により予習の重要性が浸透

 ライティングの授業でも、以前とは違う指導を行っている。従来、英作文といえば、生徒が黒板に解答を書いて、教師がそれを訂正し、ほかの生徒がそれをノートに写すといった指導が多かった。伊藤先生はこうした方法をやめて、リーディング同様、生徒の活動を数多く取り入れた。
 自由英作文では、事前にほかの生徒3名以上に読んでもらい、指摘された単語や文法の誤りを修正した上で提出させている。生徒が自己チェックする意識を高められる上に、教師にとっては添削にかける負担が少なくなる。
 「2年生の7月にベネッセの『GTEC for STUDENTS』を受検したところ、スコアの低い層では、生徒によって英作文の出来具合にバラツキがありました。学年団で原因を検討したところ、英作文のテーマに関する知識が少ないために、何を書けばよいのかがわからなかったということがわかりました。そこで、2年生の2学期からは、英作文の前にグループでブレーンストーミングを行っています。事前に生徒同士でどんなことを書けばよいのか、ある程度の方向付けをすることで、より完成度の高い英作文を書けるようになっています」
 こうした指導の結果、進研模試でも英語の成績が上昇した。特に、ライティングで表現力がアップ。リーディングでは、難しい長文読解の得点率が高くなった。
 また、活動中心の授業は、予期せぬ効果をもたらした。「生徒主体の授業を成立させるためには、生徒自ら授業の準備をしっかりすることが前提となります。予習をしないと授業についていけない、と感じた生徒が増えたことは大きな収穫でした」と、伊藤先生は喜ぶ。年度末のアンケートでは、「授業についていくためには、予習が必要だと感じた」「自分たちが活動する場面が多いため、予習の励みになった」といった意見が多く寄せられた。授業をつくるのは教師ではなく、自分たち自身であるという意識が、生徒の中に芽生えたのである。
 今後の課題は「今以上にリスニングに力を入れていくこと」と、伊藤先生は力を込める。
 「リスニング力を身につけさせるためには、授業を英語で行うことが最良の方法です。活動に対する指示を英語で行うなど、私自身、授業中に英語を使用する場面を増やし、できるだけ生徒が生の英語に触れられる機会を多くしていきたいと考えています」

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