こうした改革の波をまともに受けているのが地方国立大です。ひと口に地方国立大といっても置かれている状況はさまざまですが、厳しい環境下にあるといえるのは教員養成系大学や文系の単科大学でしょう。特に教員養成系大学は、教師の需要が落ち込む一方で、国語から美術、体育まであらゆる科目の教育課程を確保する必要があるため、一定の人件費がかかり、削減にも限度があります。一方、同じ単科大学でも医学系や工学系の大学は、企業から共同研究経費や寄付金の形で外部資金が入ってくるため、経営環境は教員養成系、文系単科大学ほど悪くありません。
ただ、収入の6~8割を交付金に頼る地方国立大にとって、交付金が毎年1%ずつカットされる状況では、経費を削り、限られた資金を戦略的に配分しなければなりません。そこで、多くの大学において、自己点検・自己評価、学生による授業評価の導入、FD*1(ファカルティ・ディベロップメント)による指導力向上など、さまざまな改革が進められるようになりました(図2)。特に、学長がリーダーシップを発揮している大学は、教授会をうまくまとめながら、着実に成果を上げつつあります。例えば、岡山大では、教育も含めた教員の人事評価に取り組んだり、学生と一緒に新しい科目をつくる学生提案型の教育を導入したりして、学内の活性化を図りつつあります。 |