特集 変わる地方国立大

岐阜大

◎岐阜県師範学校、岐阜県公立病院附属医学校、岐阜県立高等工業学校、岐阜高等農林学校を前身として発足。2006年度までに、特色GP2件、現代GP2件、教員養成GP1件が採択された。教員養成GPのテーマは「教育臨床実習重視の教師発達支援プログラム」で、大学院での高度専門職業人の養成に関する内容だ。

設立●1949(昭和24)年

設置学部・07年度入学定員●教育学部250名/地域科学部100名/医学部160名/工学部510名/応用生物科学部185名

教員数●825名(07年5月現在)

進路状況(06年度)●卒業者数1,387名、進学者数436名、就職者数783名、臨床研修医82名、その他86名

住所●岐阜市柳戸1‐1

TEL●058‐230‐1111(代)

WEB PAGE●http://www.gifu-u.
ac.jp/


古田善伯

▲岐阜大教育学部長

古田善伯

Furuta Yoshinori

医学博士。専門は保健体育学、運動生理学。2004年度より現職。

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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【事例3・教員養成】

岐阜大

教育委員会と連携し
「学生への教育」と「教員への研修」を改革

教師に求められるものが変わりつつある今、教員養成のカリキュラムも転換期にある。教育学部を持つ地方国立大にとって、学生への教育と現職教師への研修をいかに充実させるかが大きな鍵となる。そんな中、意欲的な挑戦を続け、注目を集めているのが岐阜大だ。

現場経験重視の「実践コア」教育を行う

 岐阜大教育学部は、「大学と学校現場との往復」をキーワードに、さまざまな改革を進めている。
 「教育」面での改革の柱は「ACTプラン(行動的連携による教員養成)」
だ。岐阜市教育委員会と連携し、学校現場と大学との双方向の実践教育を展開する。中核は、1~4年のすべての学年で行われる「実践コア」図1)。それぞれ異なった目的・内容での体験を学校現場で積み重ねる。そのメリットを、古田善伯教(よしのり)教育学部長は次のように話す。

図1:「ACTプラン」の「実践コア」の内容

  「学生時代に教育現場を経験できるのは、以前は3年次での教育実習だけでした。しかし、『実践コア』の導入で、今でははるかに多くの経験を積めるようになりました。大学の教員もこの科目の担当等を通じて、学校現場へのかかわりをより深められます」
 「実践コア」の教育を学生に充足させるには、附属学校などこれまで教育実習生を受け入れていた学校だけでなく、実績のない学校の協力も必要だったが、協力依頼はスムーズに進んだという。
 「受け入れ先の学校からは、『もっと来てほしい』との声が寄せられています。学生にとって勉強になるだけでなく、学生が来ることは各校の教師や子どもにとっても良い刺激になるようです」(古田学部長)
 改革は、学生に対する「教育」だけでなく、現場の教師への「研修」でも進められている。
 「地域共生型教員研修プログラム」は、教師の6年目研修および12年目研修*1を教育学部が行う取り組みで、岐阜県教育委員会と連携し、全国に先駆けて実現させた。古田学部長は、「大学から現場へ出かけるだけでなく、現場の教師が大学に来ることで、今、学校が抱えている課題を知り、その解決に向けた取り組みを大学の授業で考えることができるのです」と、効果を強調する。
 学校現場で働きながら知識や技能を磨きたいという教師のためには、「アウトリーチ型遠隔教育プログラム」を用意。岐阜県内外6か所にサテライト教室を設置して教育学部の一室と結び、双方向のテレビ会議システムによる講義を行っている。また、サテライト教室に通うのが難しい地域の教師からの要望に応え、インターネットを活用して自宅で学習できる「e-ラーニング」も始めた。
 「受講されている先生方は実に熱心で、大学はもっと努力をしなければと刺激を受けています」(古田学部長)

*1 一般的には10年目研修だが、岐阜県では12年目研修としている

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