特集 変わる地方国立大
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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POINT1

地方国立大の持つメリットを
事実やデータで伝える

 教師から生徒に情報提供する際には、地方国立大の持つ特色をデータや客観的事実を基にして伝えるとよいだろう。更に、その生徒が選択を迷っている大学間で数値を比較して示せば、その大学の優位性はわかりやすくなる。国立大では、教員数、学生数、研究費、就職状況などの情報をウェブサイトで公開しているので是非活用したい。
(1)教員1人当たりの学生数
 国立大では教員1人当たりの学生数が比較的少ない。そのため、手厚い指導が受けられ、教員と学生との距離が近くなりやすいことなどをイメージさせる。
(2)学費
 初年度納付金や年間授業料で、国立大と私立大の学費の違いを伝える。経済的基盤の弱い家庭の生徒の場合、奨学金制度だけでなく、多くの地方国立大は寮を持っていること、一人暮らしと寮生活とではかかる生活費が大きく異なることも伝えたい。
(3)大学が立地する町の雰囲気
 地方国立大のほとんどは県庁所在地にあり、多くの場合、生徒がイメージしているよりも都会的な場所にある。都市の人口や町の雰囲気、駅周辺や交通事情、生活スタイルなどを伝えて、生活環境を理解させる。生活に密着した情報は、卒業生に実体験を聞くのが最も有効だ。先輩の話は生徒にとってもリアルに感じられるだろう。
(4)具体的なキャンパスの雰囲気や学生の様子
 キャンパスの広さ、緑の多さ、1人当たりの空間の広さ、サークル活動の活発さなど、多くの地方国立大ではキャンパスの充実度が高いこと伝える。
(5)研究施設などの充実度
 理工系学部を志望する生徒に対しては、実験・実習・研究施設の充実度を伝える。専任教員の数や対学生数から見た研究室の数などを比較してみるのも1つの方法だ。
(6)理工系学部の大学院進学状況
 理工系学部では大学院進学が当たり前の時代である(就職も修士課程中心)。地方国立大では卒業生の35~60%が大学院に進学している。私立大の理工系学部から地方国立大の大学院に進学したり、地方国立大から旧帝大の大学院に進学したりする先輩の例などの紹介も効果的だろう。
(7)教育・研究内容
 地域と結び付いた質の高い研究を行っている地方国立大は多い。各種GPや21世紀COEプログラム1の採択状況を生徒に示し、工夫された教育を受けられ、レベルの高い研究ができることを伝えたい。
(8)資格取得や就職の状況
 生徒が取得したい資格や免許の取得率、就職したい分野の企業への就職率などを伝える。民間企業への就職に強いA大、公務員試験に実績があるB大などと伝えられるとよい。また、地元での就職を希望する生徒に対しては、その大学の地元企業への就職状況や地元企業と連携した授業についての情報を得ておきたい。


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